NFTの第3四半期売上高が急減
ブロックチェーンのリサーチツール「ダップレイダー(DappRadar)」を確認すると、第3四半期(7~9月)のNFT売上高が急落している。投資家らは「暗号資産市場の冬(crypto winter)」を懸念しており、NFTの需要が近く回復する兆しはほとんどないという。
2021年にNFTは投機家たちが価格上昇にあやかって現金化しようと殺到し、爆発的な人気を博した。しかし、ここ数カ月は販売量が低迷している。
「ダップレーダー」によると2022年第3四半期のNFT販売額は34億ドル(約4,904億円)で、前四半期の84億ドル(約1.2兆円)から減少している。市場のピーク時であった今年第1四半期の125億ドル(約1.8兆円)からは大幅に減少している。
NFT市場は2021年に暗号資産(仮想通貨)の価格上昇と投資家によるリスク志向の高まりといった恩恵を受けたが、2022年には中央銀行の金利上昇にともない、投資家がリスク資産を手放すようになり状況が急転した。現状BTCは約1万9,000ドル(約273.7万円)前後で取引されており、昨年11月のピークである6万9,000ドル(約994.9万円)から下落している。
市場の下落について
NFTマーケットプレイス最大手である「オープンシー(OpenSea)」での売上高は、9月に5カ月連続で下落している。
a16zを含む投資家によって支えられている「オープンシー」CEOのデヴィン・フィンザー(Devin Finzer)氏は『マクロ経済の低迷と「暗号資産市場の冬」の両方が交差している点が特異である』と述べ、『以前の「暗号資産市場の冬」にはクリプト(ブロックチェーン・暗号資産の総称)の価格だけに影響されていた。そのため今回の低迷が、いつまで続くかについては保守的に予想することが賢明である』と続けた。
しかしフィンザー氏は、同社が「財政的に良い状態」にあると述べ、長期的なNFTの可能性に期待しており、この低迷を「構築段階」だとも表現している。
イーサリアムの情報を追跡しているプラットフォーム「ノンファンジブルドットコム(NonFungible.com)」によると、毎週のNFT購入者数はピーク時の今年1月下旬から半分以上も減少している。
またアート市場に関する情報サイト「アート・マーケット・リサーチ(Art Market Research)」によると、伝統的な美術品市場はこのブームをいち早く取り入れたが、販売数は減少しており、クリスティーズ(Christie’s)、サザビーズ(Sotheby’s)、フィリップス(Phillips Auctioneers)、ボナムズ(Bonhams)におけるNFTの売上高は合計840万ポンド(約13.8億円)で、昨年同時期の1億2700万ポンド(約209.3億円)を下回っている。
NFTとは
「NFT(Non Fungible Token:ノンファンジブル・トークン)」とは、代替が不可能なブロックチェーン上で発行されたトークンを指す。NFTの規格で発行されたトークンは、そのトークン1つ1つで個別の価値を持つ。そのためNFTを画像や映像などのデジタルデータと紐付けることで、デジタルデータの個別の価値を表現することに活用されている。
なおNFTという言葉は現在幅広く活用されており、活用するブロックチェーンやマーケットプレイスの種類によって、その機能や表現できる価値が異なる可能性があることには留意が必要だ。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
NFT sales plunge in Q3, down by 60% from Q2
Reporting by Elizabeth Howcroft, editing by Ed Osmond
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters