PoW版イーサリアム「ETHPoW」始動、トークンの取引も開始
イーサリアム(Ethereum)メインネットの大型アップグレード「マージ(The Merge)」完了後、残存したPoWチェーンを分岐した「EthereumPoW」が始動した。そして日本時間9月15日夕方頃からそのトークンである「ETHW」の取引が複数の取引所で開始された。
「マージ」は、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムをPoWからPoSに移行するアップグレード。9月15日15:40頃実行された。
また「EthereumPoW」は、今までのPoWチェーンでマイニングを行っていたマイナーらが中心となり、PoWを維持することを目的として「マージ」後に誕生したブロックチェーンだ。
「ETHPoW」への対応を表明していたFTX、OKX、Bybit(バイビット)などの取引所では15日17時頃から16日にかけて、ETHを保有するユーザーに対し、ETHと同数のETHWのエアドロップが行われ、取引が開始された。
15日17時頃に取引を開始したFTXでは、取引開始から1時間で1ETHW=30ドルまで上昇したが、記事執筆時点では10ドルに下落している。またクラーケン(Kraken)は「ETHW」への対応を未定と発表していたが、16日に「ETHW」の取引を開始した(日本除く)。
なおメタマスク(MetaMusk)などの暗号資産(仮想通貨)ウォレットなどにイーサリアムを保有していれば、「ETHPoW」チェーンをネットワーク追加することにより、ウォレット内のETHと同数の「ETHW」が送付されていることが確認できる。
マイナーの行き先
イーサリアムは今回の「マージ」でPoWからPoSへ移行したことにより、ブロック生成の過程で大量の計算を伴うマイニングを行う必要がなくなった。これにより多くのコンピュータリソースを有するマイニングプールはイーサリアムでのマイニングを終了するか、他のPoWチェーンで稼働するブロックチェーンでマイニングを継続するかの二択を迫られることになった。
「ETHPoW」が公開したマイニングプールリストによると、イーサリアムで第2位の規模を持つF2Poolをはじめ、2MinersやNanoPoolなど複数の主要マイニングプールがETHPoWへの移行を表明しているという。
また一部のイーサリアムのマイナーらは、2016年にイーサリアムから分岐したイーサリアムクラシック(ETC)へ移行しており、マージ完了後にETCのハッシュレートは約6倍に上昇している。またETCの価格もここ数か月で2倍以上に上昇している。
なおイーサリアムがPoSへ移行したことにより、世界の電力消費量が0.2%削減されるとイーサリアムの創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が述べている。
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参考:ETHPoW・ハッシュレート・FTX・クラーケン
デザイン:一本寿和
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