インド政府、バイナンスが連携する取引所の資産凍結。マネロンの疑いで

インド政府がワジールエックスの資産凍結

インドの金融犯罪対策機関は8月5日、外国為替規制違反の疑いに関する調査の一環として、インドの暗号資産(仮想通貨)取引所ワジールエックス(WazirX)の資産を凍結したと発表した。ワジールエックスは世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)がサービス関与している取引所だ。

連邦執行理事会(ED)の発表によると、6億4670万ルピー(約10.8億円)相当の資産を凍結したとのことだ。

ワジールエックスの広報担当者は「私たちは数日前から執行理事会に全面的に協力しており、彼らの質問にはすべて完全かつ透明性を持って回答している」と述べ、また「当社は、連邦執行理事会のプレスリリースの主張には同意していません。今後の対応策を検討中です」とコメントしている。

連邦執行理事会は、ワジールエックスがプラットフォーム内で暗号資産のスワップ(変換)を提供することで、犯罪収益の資金洗浄を行う即日融資サービスを提供する企業を支援した疑いがあるとしており、今回の措置はその調査に関連したものだと説明されている。

またワジールエックスを運営するザンマイラボ(Zanmai Lab)の取締役の一人に対しても、今回の疑いに関連した捜査が行われた。

連邦執行理事会は、その即日融資サービスを提供する企業と複数のシャドウバンキング(金融仲介業)に対し、「中央銀行の規範に違反し、融資企業が借手に対して高利率や貸付費用などを強いる融資行為を行っている」として、マネーロンダリングの捜査を行っているという。

また発表では「大量の資金がフィンテック企業によって暗号資産を購入するために流用され、それが海外に向けて資金洗浄されていることを、連邦執行理事会は資金追跡調査により発見した」と述べている。

さらに「違法な融資行為を扱うこれらのフィンテック企業の多くは、中国のファンドに支えられていた」と連邦執行理事会は付け加えている。

連邦執行理事会は昨年、外国為替規制違反の疑いでワジールエックスに対し調査を開始していた。

またバイナンスのCEOであるCZ(Changpeng Zhao)氏は5日に、同社がワジールエックスの運営会社であるザンマイラボの株式を保有していないことをツイートしている。

CZ氏は『2019年11月21日、バイナンスはワジールエックスを「買収した」というブログ記事を公開しました。この取引は完了していませんでした。バイナンスはワジールエックスを運営するザンマイラボの株式を保有したことはありません』と述べている。

バイナンスは、ワジールエックスの技術的な解決策として同取引所にウォレットサービスを提供しているだけだとCZ氏は言う。

2021年、連邦執行理事会は中国が所有する違法なオンライン賭博アプリケーションに関わるマネーロンダリング事件を調査していた。その調査の過程で、約5.7億ルピー(約9.5億円)相当の犯罪収益が洗浄され、バイナンスのプラットフォームを使用して暗号資産に変換されていたことが判明したと、発表されていた。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
India freezes assets of Binance-linked WazirX
Reporting by Nupur Anand in Mumbai and Yuvraj Malik in Bengaluru; editing by Louise Heavens, Jason Neely, Vinay Dwivedi and Maju Samuel
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
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