【取材】国内の信託銀行、暗号資産カストディ業務可能に、内閣府令改正へ

国内の信託銀行、暗号資産カストディ業務可能に

日本国内で、信託銀行が暗号資産(仮想通貨)のカストディ(信託)業務を担えるようにする内閣府令の改正案が6月30日に示された。

現状、暗号資産のカストディ業務は信託業法が適用される信託会社のみ担うことができ、信託銀行は対象ではなかった。内閣府令が改正されれば、信託銀行も株や債券のように暗号資産を信託財産として預かることが出来るようになる。

なおこれまでも信託銀行は、電子記録移転有価証券表示権利等(通称:セキュリティートークン)や電子決済手段(通称:ステーブルコイン)のカストディ業務を担うことは可能であった。

金融庁は内閣府令の改正について「暗号資産を含め、デジタル資産のカストディ業務の担い手が増加することにより、利用者保護を図りつつ、利用者の利便性を高める金融イノベーションの創出に繋がることを期待」と説明している。

なおこの改正案に対して、8月1日までパブリックコメントを募集。そしてその後、所要の手続きを経て法律内容が公布され、施行される見通しとなる。

これまで国内では信託銀行がカストディ業務を担えないことが、暗号資産市場拡大の一つの課題となっていた。今回の改正が進めば、業界発展のためのポジティブな要因となるだろう。

なお今年5月に、暗号資産取引所を運営するビットバンクが三井住友トラストとデジタルアセット信託会社設立を発表している。

加筆:7月5日16時

アンダーソン・毛利・友常 法律事務所パートナー弁護士の長瀨威志氏へ取材

あたらしい経済編集部は、アンダーソン・毛利・友常 法律事務所パートナー弁護士の長瀨威志氏へ取材を行なった。

−−信託会社だけではなく、信託銀行がカストディ業務を担えるようになる意義に関して、どのように考えていますでしょうか?

これまで暗号資産カストディ業務を行うことができるのは暗号資産交換業者か銀行グループから独立した信託会社に限られていましたが、信託銀行が暗号資産カストディ業務を行うことができるようになることに伴い、機関投資家がより安心して暗号資産を取得できる環境が整い、投資家層の拡大につながると考えられます。

−−今後、国内の規制動向に関して、どのように推測されていますか?

従前の日本の暗号資産法制は個人投資家保護に偏重しており、米国等の先進国と比較して柔軟性・機動性に欠ける側面が少なくありませんでした。

今般の信託銀行による暗号資産カストディ業務の解禁や、暗号資産の上場審査手続きの見直しに向けた取り組み等に加え、暗号資産税制の改善等が行われることにより、他国と比しても暗号資産ビジネスを進めやすい規制環境が整備されていくことが期待されます。

参考:金融庁
images:iStocks/your_photo・Ninja-Studios
デザイン:一本寿和

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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