ソラミツがアジア大洋州の国々でCBDC導入に向けた調査事業開始
国内フィンテック企業ソラミツが、ベトナム、フィジー、フィリピン等でCBDC(中央銀行デジタル通貨)導入に向けた調査事業を開始したことが6月20日分かった。これら3ヵ国を含めたアジア大洋州の国々の中央銀行、金融当局にアプローチし、CBDCの導入に向けた潜在的なニーズ調査、導入の可能性の検討を行うとのことだ。
発表によるとこの取り組みは、経済産業省が実施する「令和4年度 質の高いインフラ及びエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業」で、ソラミツは同事業へ採択されたという。
ソラミツは2020年より実運用が開始されているカンボジア王国のCBDC「バコン」を同国中央銀行・金融監督局であるカンボジア国立銀行と共同開発を行った。「バコン」にはソラミツ開発のオープンソースのブロックチェーン「Hyperledger Iroha」が利用されている。
この実績を基にソラミツは、ラオス人民民主共和国で独立行政法人国際協力機構(JICA)の支援を受け、CBDCの導入に関する基礎調査を実施中だという。
今回の事業ではCBDCの導入の対象国を広げるべく、ベトナム、フィジー、フィリピンなどへの調査を行うとのことだ。
なおソラミツは昨年12月、フィジー、ソロモン諸島、トンガ、バヌアツの4ヵ国とCBDC発行の検討を行うと発表していた。この取り組みでは、ソラミツがNTTデータ経営研究所のブロックチェーン関連業務の一部を受託したかたちで行われるとのことだった。
またカンボジア国立銀行によると、CBDC「バコン」は、昨年11月末時点において、ホールセール決済はのべ790万人の利用者となり、開始から約1年で国民(1670万人)の約2分の1に普及したとのことだ。なお「バコン」はカンボジアにおいて、大口の銀行間取引である「ホールセール決済」と国民や企業が日々の送金や支払いに活用する「リテール決済」の両方で利用されている。
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