ビットバンクと三井住友トラストがデジタルアセット信託会社設立へ
ビットバンクが、国内における暗号資産(仮想通貨)を含むデジタルアセットの保管管理(カストディ)事業参入へ向けた新会社を設立したことが分かった。この新会社「日本デジタルアセットトラスト設立準備株式会社/Japan Digital Asset Trust Preparatory Company, inc.:JADAT」では、三井住友トラスト・ホールディングスと共に事業参入する予定とのことだ。
ビットバンクは5月24日、三井住友トラスト・ホールディングスとデジタルアセットに特化した信託会社の設立に関する基本合意書を締結したことを発表。三井住友トラスト・ホールディングスからJADATへの出資を含めた、新会社設立に向けた共同検討に関する合意書となるという。
発表によるとJADATでは、暗号資産を始めとしたデジタルアセットの価格に連動するファンドや機関投資家、デジタルアセットを活用したビジネスを展開する事業法人に対し、信託及び資産管理機能の提供を目指すとのことだ。
なおJADATの代表取締役はビットバンクCEOの廣末紀之氏が務める。また信託業法に基づく関係当局の登録が完了すれば「日本デジタルアセット信託株式会社」へ商号が変更される予定だ。
「あたらしい経済」編集部は発表当日の記者会見を取材した。会見には廣末紀之氏が登壇した。
記者会見の内容
記者会見では、JADATの概要や参入背景、業界動向などについて説明された。
その中で廣末氏はJADATについて「ビットバンクとしては会社設立以来、2つ目の重要な事業だ」とコメントした。
またJADATでは「暗号資産、NFT、ステーブルコイン、セキュリティトークンなど多様なデジタルアセットを信託する」とのことで、廣末氏は「デジタルアセットの監査についても、その実存性なども考慮し、しっかりと対応していく」と述べ、コールドウォレット保険への加入予定も説明した。
会見ではJADATが「パブリックブロックチェーンに特化したデジタルアセット」のカストディ中心に進めていくことが明かされた。またビットバンクと三井住友トラストが共同で事業に取り組むうえで「パブリックブロックチェーンベースのアセットこそが重要である」という価値観が一致したと廣末氏は説明した。なおプライベートブロックチェーンに関連するアセット対応について、その方針は今のところ無いとした。
また今回デジタルアセット信託事業へ参入する背景として「国内において、信頼に足るデジタルアセット信託会社がないことや内部統制およびセキュリティの課題がある」と説明された。デジタルアセット信託会社がなければ、国内で市場が拡大をすることが難しいとのことだ。
今後JADATは法定通貨担保型のステーブルコインの発行も検討しているという。発行するステーブルコインの運用業務については「先々は行うかもしれないが、まずはステーブルコインの管理業務だけに徹する方針」とした。またJDATのカストディ業務は、ビットバンク以外の取引所からの業務も受け入れる可能性があることも明かされている。
JADAT代表取締役兼ビットバンクCEOの廣末紀之氏へ質問
「あたらしい経済」編集部は、JADAT代表取締役兼ビットバンクCEOの廣末紀之氏へ以下の質問を行った。
–暗号資産によって信託方法は異なるのでしょうか?
信託方法は、暗号資産によって異なります。暗号資産取引所が、取り扱う暗号資産に応じて、ウォレットをつくり、入出金を管理する方法に似ています。
–新会社の事業開始時期はいつ頃になるのでしょうか?
関係当局次第にはなりますが、希望的観測としては年内の事業開始を目指しています。
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参考:ビットバンク
取材:あたらしい経済編集部(竹田匡宏・大津賀新也)
写真:大津賀新也