「寺DAO」で暗号資産調達、DEVプロトコルと社寺建築の翠雲堂が提携
DEVプロトコルを開発するフレームダブルオー(FRAME00)が、社寺建築や寺院荘厳具の製造・販売を行う翠雲堂とパートナーシップを締結したことが5月20日に分かった。
DEVプロトコル(DEV PROTOCOL)は、フレームダブルオーが提供するクリエイターエコノミーに対応したアプリケーションを開発できる完全分散型、オープンソースのミドルウェアだ。様々なサービスやゲームに独自エコノミーを構築でき、DAOに必要な全てをそなえた開発キットも提供している。
今回両社は、日本文化や職人らの新たなデジタル技術の架け橋となる新たなコミュニティとして「寺DAO」を発表した。「寺DAO」のメンバーになるためには、暗号資産イーサ(ETH)もしくはDev Protocol(DEV)をステーキングする必要がある。なお対応通貨は今後増やしていくとのこと。
また「寺DAO」で集められた資金は、寺院の修復や職人のサポートに利用され、「寺DAO」のメンバーにはいくつかの参加特典が準備されているという。具体的な参加特典として、翠雲堂の職人の手による逸品やNFTのプライベートオークションへの参加や、限定商品、メンバー限定サービスを予定しているとのこと。ちなみに「寺DAO」の暗号資産による資金調達は6月6日より開始予定だ。
両社のパートナーシップ締結の背景には「持続可能性」という共通目標をがあるという。
発表では「翠雲堂は寺院建築から、寺院荘厳具の製造・販売まで、お寺に関わるすべてをつくり、全国に1万7000を超える寺院と取引しています。日本の貴重な文化財を次の世代につなぎ、1000年後も今の文化財を修復できるような材料や技術を継承する翠雲堂の事業と、DEVプロトコルの持続可能なファンディングシステムは、持続可能性という共通の目標を持つことから、この度のパートナーシップ締結に至りました」と説明されている。
なおコロナ禍において寺院や仏教美術に関心を持つ海外渡航者が激減し、伝統工芸にも影響が出ているようだ。そのため「寺DAO」は日本全国の寺院における修復、伝統工芸職人、国内外の寺院に関心を持つ方々へのサポートを目的とし、ステーキングによる持続的なクラウドファウンディングおよびDAOによるコミュニティ構築を行っていく方針だ。
なおフレームダブルオーは5月9日に、DAO(自律分散型組織)の開発キット「Clubs」を発表している。「Clubs」は、「DEVプロトコル」をプロジェクトに組み込むことができるキットだ。
フレームダブルオー代表取締役社長の原麻由美氏へ取材
「あたらしい経済」編集部はFRAME00株式会社表取締役社長の原麻由美氏へ取材を行なった。
−−ステーキングした暗号資産(ETH、DEV)からの収益分配は、どのような仕組みになっていますか?
DEVプロトコルのステーキングシステムを採用しており、ステーキングするとすべてDEVにスワップされ、同じ利回りが発生します(現状年30%程度)。DAOが集めた収益は、今後DAO内で用途を決定していきます。
−−文化財の継承事業を営む企業に関して、いま最も課題となっているポイントは、なんでしょうか?
今ある文化財を継承するための技術をもつ職人の育成や材料・道具を日本に残すことが課題となっております。
例えば、材料となる木材の場合、木を植え育てるところから10年、数十年などの長いスパンで考えていかなければならないが、需要が減少していると、継承が難しくなる。現在は海外の材料なども使うこともあるそうです。このままでは日本の文化継承に必要な材料や道具、職人が途絶えてしまうという危機感があります。
−−なぜ暗号資産を活用すれば、持続可能性が生まれると考えられましたか?
DEVプロトコルは、クリエイターと支援者が協力してプロジェクトを成長させ、平等に報酬を受け取ることができる分散型ファンディングを提供しています。両者に利益があるステーキングに加えて、支援者に魅力的なPerks、DAOトークンのコミュニティ分配が実現すれば、より持続可能性が高まると考えている。