IMF、各国に暗号資産規制強化求める
国際通貨基金(IMF)が、「2022年4月版の世界金融安定化報告書(GLOBAL FINANCIAL STABILITY REPORT APRIL 2022)」を4月19日公開した。
報告書ではロシア・ウクライナ戦争の結果、世界経済の景気先行きに対する下振れリスクが高まることが懸念されている。
そしてそのリスクに対し、各国の政策立案者は暗号資産市場に関する基準も策定すべきだと、見解を示した。
IMFは報告書内で、主に新興国での暗号資産の利用拡大やロシアへの制裁措置の可能性を見込んだ人々の暗号資産活用などについて説明。
いずれも各国の政策立案者らが今後直面しうる構造的問題を、戦争が先立って表面化させたとしている。
報告書によれば、実際に対ロシア制裁の導入やロシア・ウクライナでの資本規制の活用を受け、一部の新興国通貨に対する暗号資産の取引量が急増しているとのことだ。
この取引増の急増はリスクの増加の懸念があるという。暗号資産を含む金融活動における技術革新(フィンテック)は、競争や金融包摂などの強化により包括的な市場の成長を支えることができるはずだが、フィンテック企業にそれほど厳しくない規制が適用されている場合、リスクの高いビジネスセグメントの急成長は金融安定性の懸念材料となりえるとしている。
そしてIMFは政策立案者らへの提言として「暗号資産の活動とリスクに関する包括的なグローバルスタンダードを策定すべきです。フィンテック企業や分散型金融(DeFi)プラットフォームのリスクを軽減しつつ、その利点を活用するために、より強固な監視が必要です」と説明。
さらに「暗号資産の利用が拡大する環境下で資本フロー管理措置の有効性を維持するために、政策立案者は多面的な政策戦略を追求する必要があります。商品価格のボラティリティ上昇に対応して市場や取引所でとられた最近の措置は、規制当局が取引所のガバナンス機構、取引システムの弾力性、リスクの集中、証拠金設定、および取引所の運営など、より広い意味合いを検討する必要性を浮き彫りにしています」と述べた。
IMFはDeFiへの規制強化の必要性を4月13日に、見解書にて説明している。
それによれば「DeFiは統括機関がないことが、有効な規制監督を行う上での障壁となっています」とし、「この点については、ステーブルコイン発行体や一元管理型の仮想資産交換所など、DeFiの急成長を加速させている事業体に重点を置いた規制を整えるべきです。また、監督当局は頑健なガバナンス体制の確立を促進すべきであり、そのためには業界基準や自主規制機関などが検討できます」と言及している。
参考:IMF、IMFの見解書
デザイン:一本寿和
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