米OSTP、暗号資産の気候変動への影響についてパブコメ募集

米OSTP、暗号資産の気候変動への影響についてパブコメ募集

アメリカ合衆国科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy/OSTP)が、暗号資産(仮想通貨)を含むデジタル資産の環境エネルギーおよび気候への影響に関するパブリックコメント募集を3月26日に開始した。

ちなみにパブリックコメントを募集した理由は、OSTPが3月9日のデジタル資産に関する米国大統領令に応じて、デジタル資産の気候変動などに関する影響や可能性を報告書で提出する必要があるからだ。OSTPは、デジタル資産が気候変動への取り組みやクリーンで信頼できる電力網への移行を阻害する可能性および促進する可能性を報告書でまとめる必要がある。 

また今回の発表に合わせ、OSTPはデジタル資産が環境エネルギーや気候に与えうる影響に関して次のように説明している。

OSTPは「デジタル資産エコシステムの爆発的な成長は、エネルギー使用量の増加や気候に悪影響を与える可能性があります」とし、そして「暗号資産を含む多くのデジタル資産は、取引を検証するために中央機関とは対照的に、分散型のコンセンサスメカニズムを使用しています。デジタル資産のシステムによってコンセンサスメカニズムは異なりますが、多くはPoW(プルーフ・オブ・ワーク)ベースのシステムを使用しており、大量のコンピューティングパワーと電力を必要とし、その多くは炭素集約的な資源から得られるものです。研究者の中には、暗号通貨が年間に使用する電力は、先進国を含む世界の多くの国々で使用されている電力よりも多いと推定する人もいます。デジタル資産は、気候変動と戦うために炭素を含まない資源に移行する必要がある現在、重要な環境問題を引き起こす可能性があります」と説明している。

一方「例えば、炭素会計(カーボンアカウンティング)や検証において新たな機会を提供し、炭素測定に対する信頼を高め、気候変動に対処するための新たな機会を生み出すかもしれません」と、デジタル資産が気候変動にプラスの影響を与える可能性もあるとしている。

米国大統領令の内容は「FACT SHEET: President Biden to Sign Executive Order on Ensuring Responsible Development of Digital Assets」と題され、全文が公開されている

この文書では、米国政府全体の方針の中で特に優先すべき重要事項として「消費者と投資家の保護、金融安定性、不正資金、世界の金融システムにおける米国のリーダーシップと経済競争力、金融包摂、責任あるイノベーション」が示された。OSTPによる今回の環境問題に関する内容は、責任あるイノベーションに分類されるではないかと考えられる。 なおOSTPのパブリックコメント募集は5月9日までだ。

参考:OSTP
images:iStocks/Pict-Rider・hatchetman
デザイン:一本寿和

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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