DAOアプリ「Alga(アルガ)」発表
ブロックチェーンエンジニアで、大阪大学大学院情報科学研究科の特任研究員でもある落合渉悟氏が、DAO(自律分散型組織)の作成や投票のできるを自治プロトコル「Alga(アルガ)」を発表した。
Alga(アルガ)は、自治体より小さい公共(マイクロパブリック)のためのアプリとのこと。誰もがスマホ一つでリーダー不要な公共システムやDAOを立ち上げることができ、議案の提案・議決から資金の管理・運用まで、自治にまつわる全てのデジタルインフラを備えているとのことだ。
発表では「熟議の質と安全性を向上させるために、スマートコントラクト技術と高度な暗号学プロトコルが使用されており、行政のDXやWeb3時代の健全なDAOのインセンティブ設計が可能」と説明されている。
また公式サイトでは具体的な導入シーンとして、行政DXとしての条例や予算案審議などや、紛争地帯への民主制導入のツールとして、または例えばマンション管理組合のような団体運営に、そしてイベントなどでのシビックテックを体験する教育利用などが挙げられている。
なお公式サイトではインセンティブとして「$ALGAトークンとDeFi運用により、貢献に応じたリワードの付与と外貨獲得機能を持ちます」と記載されていることから、今後Alga独自トークンの発行も視野に入れた活動のようだ。
Algaを開発した落合氏はツイッターで発表に合わせ以下のようにコメントしている。
「時間のかかるミッションですから、当面はOSSプロジェクトとして活動することになりますが、実際に使用する方の体験を第一に着実に進めてまいります。当然、体験を構成する法規制や税制についても扱います」
Alga開発の落合渉悟氏インタビュー
「あたらしい経済」編集部は、Alga開発した落合渉悟氏に取材した。
–Algaが利用するブロックチェーンは?
AlgaはChainLinkVRFが使用できるガス代が安価なEVM環境であればどこでも稼働できる設計です。特にOptimismが今後さらなるガス代低下を視野に入れており、かつEVMの仕様準拠度が極めて高いので、期待は高いです。
–ユーザーは活動の中で、Algaトークンを利用するのでしょうか? 独自トークンも作れるのでしょうか?
ユーザーが使用する流通通貨は任意のERC-20になります。ですから、好みのステーブルコインを用いてもいいですし、ETH、BTC、独自の地域通貨など好きな流通通貨を選ぶことができます。
–ユーザーが実際利用するインターフェイスは?
インターフェースはzk-SNARKsに関わる実行環境の進み具合とアクセシビリティを鑑みて、iOS/Androidから提供します。
–今後の開発のロードマップ、いつから実際にユーザーが利用できるようになるか?
開発ロードマップとしましては一年以上前の段階で各モジュールのプロトタイピングが終わっており、実現可能性については目処が立っています。今年の後半にかけてコミュニティ主体で開発していければと考えています。
–Algaを開発した理由は?
私は6年前からEthereumの高速化に関与し、3年前から国のDAO化についての理論をまとめてきました。その間、香港、ミャンマー、ベラルーシ、ロシアと独裁政権が幅を利かせ、加えてコロナ禍における過剰流動性によって「勝てば官軍」の様相が状態化して参りました。
私の人生のテーマは「究極の持続性とはなにか」です。permissionlessな形で国家のDAO化に繋がる技術をいま世の中に放っておくことは、後々大きな意味を持つだろうと考え、いまギアを1つ上げました。