【取材】日本発SolanaのDeFi「Cega」が約5億円調達、パンテラやコインベースらから

日本発SolanaのDeFi「Cega」が約5億円調達

日本発のDeFi(分散型金融)プロジェクト「Cega(セガ)」が、シードラウンドで約5億円(430万ドル)の資金調達を行なったことが3月9日に分かった。

「Cega(セガ)」を開発する「Cega Finance(セガファイナンス)」の共同設立者兼CEOは豊崎亜里紗氏。同氏は投資銀行のUBS証券、グーグル(Google)で勤務したのち、「Cega Finance」を設立した。

今回、同社はドラゴンフライキャピタルパートナーズ(Dragonfly Capital Partners)、パンテラ・キャピタル(Pantera Capital)、コインベースベンチャーズ(Coinbase Ventures)、アラメダリサーチ(Alameda Research)、ソラナ・ベンチャーズ(Solana Ventures)から調達した。

「Cega」は ソラナ(Solana)上のDeFiアプリケーションとして、仕組債をはじめとしたスマートコントラクトや消費者向けのステーキングプロダクトを提供している。仕組債とは一般的な債券にオプションやスワップなどのデリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ債券。

一般的な債券とは異なり、元本や利金の支払について、参照対象とする株価、為替、その他各種指数などの金融指標の変化による条件が付されることによって、条件の付いていない債券よりも高い利回りが期待できるという。

また従来の金融機関での仕組債の「金利が下がる、商品が多様化しない、機関投資家の有利なポジションに流動性を持たせる」という問題点を解決するために開発された商品とのことだ。

チームメンバーには、元オプショントレーダー、開発者、創業者が集まり、仕組債の専門家からなるコミュニティが集結しており、「Cega Finance」の専門性の高さが投資家のためのダウンサイドプロテクションを有した高い利回りを生み出す仕組債の開発を可能にしているとのことだ。

そして今回の資金調達によって「Cega」の商品開発強化をはじめ、リスク管理のための統計モデルの精度向上、また急務となっている DeFiとデリバティブに関するユーザー教育に焦点を当て、これを学ぶ機会及びディスカッションの場を提供するコミュニティ形成とその活性化に取り組んでいくとのことだ。

今後の展望については「暗号資産市場における大型売買プレイヤーである複数のマーケットメーカーの賛同を得ており、そのDeFiにおける仕組債の売買成立の確約と、売買規模の大幅な拡大を見越して製品開発を進めています。この市場は今後数兆ドル規模に成長する可能性があり、DeFi暗号資産の金融市場を次のステージに引き上げる役割をCegaが果たしていきます」と発表で説明されている。

Dragonfly Capital Partners ゼネラル・パートナー Tom Schmidt氏は次のようにコメントしている。

「CegaはDeFiの次なる変革者となるでしょう。 DeFiで今起こっていることは、イノベーティブな仕組みが登場し、それが波及した全く新しいカテゴリの商品が次々に生まれ、その相互作用で市場全体がさらに成長していくという大きなダイナミズムです。私たちは、AMMにおけるUniswapの席巻や短期金融市場でのCompoundの劇的な成長を間近で見てきました。そして、Cegaは DeFiにおいて新たな仕組債を用いて同じく劇的な成長を遂げるでしょう。彼らを支援することで、市場全体の大きな変化に立ち会えることを光栄に思います」

Pantera Capital共同最高投資責任者 Joey Krug氏は次のようにコメントしている。

「CegaはDeFiのオプション取引において未開拓領域を果敢に切り開いており、そこには数兆ドル規模の可能性が広がっています。それは伝統的な金融市場を破壊するパワーさえ秘めています。高度なオプションを用いた仕組債はリスク管理に最適な可能なツールだと既存の金融市場で証明されています。CegaはDeFiにおいてオプション取引の新たな局面を切り開いてくれるでしょう」

Cega共同設立者兼CEOの豊崎亜里紗氏は次のようにコメントしている。

「DeFiのオプション取引は昨年爆発的に成長しましたが、市場はまだ初期段階にあります。DeFiは過去2年間で300%以上のCAGR(年平均成長率)を記録し、現在では400万人のユーザーを抱えています。暗号資産市場が大きく拡大する不安定な時期に、高い利回りと高い安全性を備えた仕組債のリリースは市場全体の成長に必須であり、今求められているものだと考えています」

CegaのSolana選定理由と展望

「あたらしい経済」編集部はCega共同設立者兼CEOの豊崎亜里紗氏へ取材を行なった。

−−Solana基盤でDeFiを実装する意義について説明していただけますでしょうか?

Cegaは様々なネットワークから投資されていますが、私たちは次の3つの理由からSolanaから始めることにしました。

(1) DeFiデリバティブプロトコルの利用可能性 – Solanaは最も人口の多いデリバティブ市場の一つであり、流動性とコンポーザビリティ(インフラ上のパートナーシップ)を可能にします。
(2) エコシステムからのサポート – solana venturesと多数のsolanaデリバティブプロトコル創設者が早い段階で私たちのプロジェクトに投資してくれました。
(3) 高TPS(Transaction Per Second)と低コスト- solanaの技術により他のネットワークでは2年前では不可能だったトラッキングや取引が可能になりました。

−−これまでなぜDeFiで仕組債のプロダクトが、開発されてこなかったとお考えでしょうか?

私自身、以前は投資銀行で仕組債に関わる仕事をしており、どうやって暗号資産を活用しようかと考えていました。しかし、当時はバニラオプションの流動性(エキゾチックはその上に構築される)や取引の重さを処理できるネットワークが不足していたため、実現は不可能だったのです。

現在は、DeFiのデリバティブ市場が大きく成長し、私たちが処理したいと考えている取引をサポートできる様々なL1やL2が存在する、転換期にあります。

−−投資家が金利スワップやオプションの機会を得るための市場参加者をどのように集め、持続可能性を持たせていくのでしょうか?

Cegaの市場では、まずは仕組債のプロダクトを熟知しているDeFi玄人層をターゲットにしています。彼らは、AMMの利率が低くなってきていること、DeFiのデリバティブプロダクトの多様性に欠けていることに気づいています。

高利回りで安全な決済が可能というCegaのユーザーは、こうしたユーザーに市場への流動性提供を促すのに十分だと思っています。そしてそのユーザーが良い経験を積めば、もっと沢山のユーザーが当社のプロダクトに継続的に関与してくれると信じています。

images:iStocks/TaiChesco、BadBrother
デザイン:一本寿和

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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