Concordium財団、電⼦投票システム開発のPHIへ助成金
パブリックブロックチェーン・コンコーディウム(Concordium)を運営するコンコーディウム財団が、Web3のシステム開発を⾏う日本企業PHIの電⼦投票プロジェクト「Govote」へ、助成⾦を提供することを2月18日に発表した。
PHIの「Govote」はブロックチェーン技術とゼロ知識証明によって投票の権利と投票の秘密、また投票の結果の耐改ざん性を実現する電⼦投票アプリケーションだ。
「Govote」は、ゼロ知識証明により⾝分を明かさなくても有権者であることを証明が可能、投票内容の詳細と個⼈情報が結びつかないためプライバシー保護が可能で、ブロックチェーンを活⽤し集計時のデータ改ざんの可能性が限りなく低いという、従来の投票システムを刷新する特徴を持つ。
なお、コンコーディウムが個人のプライバシーや規制準拠を重要視していることが、「Govote」がコンコーディウム基盤を選定した大きな理由のようだ。
コンコーディウムはユーザーのID管理をプロトコルレベル(アイデンティティ・レイヤー)で実装するオープンソース・プラットフォームだ。企業はコンコーディウムを活用することで、ブロックチェーンの利点を維持しつつ、各国の規制準拠を可能にするプロダクトを設計することができる。
またユーザーは政府機関が発⾏する⾝分証によって(eKYC企業が参加)、コンコーディウム上にアカウントを作成することができ、アイデンティティ・レイヤーには分散型のアイデンティティ・リボーキング(取り消し)設計が⽤意されている。例えばユーザーが違法⾏為を⾏ったと疑われる場合、裁判所の要求に応じて、ユーザーの「匿名性」を取り消すことができる状態だという。
なお「Govote」は若者の政治参加を⽀援するコミュニティ「参政党」での活用が決まっているとのことだ。「参政党」では、「Govote」が新⼈候補の信任投票やコミュニティの活動の意思決定として利⽤される予定という。また「Govete」は汎用的なアプリケーションにするために、スマホなどからも簡単に利用できるように設計されている。
なおPHIは「Govote」の今後のマイルストーンとして、コンコーディウム上での投票結果の記録やシステム構築を示している。
コンコーディムCEOローン・フォンス・シュローダ(Lone Fønss Schrøder)氏は発表で次のようにコメントしている。
「オンライン投票は以前から話題になっており、特にポストCOVIDの時代には勢いを増しています。技術としてはかなり前から利⽤可能ですが、こうしたシステムの透過性や脆弱性についての懸念はまだ残っています。ブロックチェーンを⽤いてこれらの課題を克服することは、この技術の新たなユースケースと⾔えるでしょう。PHIチームと⼀緒にオンライン投票の実現に取り組めることを光栄に思います」
PHI CEO岡崇氏は次のようにコメントしている。
「⽇本初のチームとして、Concordium財団から助成⾦を獲得できたことを嬉しく思います。私たちPHIチームは、Web2.0、Web3.0間の架け橋になることで、ブロックチェーン業界の発展に⼤きく貢献でき、私たちの⽬指す社会への出発点になると信じています。パブリックブロックチェーンの企業、公共機関利⽤が進まない背景に、AMLなど各国の規制要件に満たないというとても⾼いハードルがあり、ユーザーの本⼈確認とプライバシーを両⽴するID機能を実装したconcordiumを活⽤することでこの課題を解決するDappsの開発が可能になると考えています。今まで実証実験⽌まりで実装の進まなかった企業、公共機関のパブリックブロックチェーン活⽤を進めていきます。私たちPHIチームは、これらの活動がブロックチェーン・トークンを活⽤する組織の可能性を⼤きく⾶躍させ、組織の運営から不条理を排除し、誰にとっても公平な組織運営、参加が出来るようになると信じて粛々と前進していきます」
昨年7月にコンコーディウム財団は、コグローバルな開発者を対象とした助成金プログラム「フリー&オープン・グランツ・プログラム(Free & Open Grants Programme)」 を発表した。このプログラムでは開発者へ最大約220万円(20,000ドル)、フォローアップ助成金として約820万円(75,000ドル)を提供されている。またこのプログラムは、コンコーディウムやRust言語のエコシステムに貢献したいと考えている開発者や技術プロジェクトを対象としている。
またコンコーディウム昨年6月に、日本ブロックチェーン協会(JBA)正会員に加盟している。