microverse、サイバーエージェントやEV、DJTらから5,000万円調達
NFT関連事業を展開するmicroverseが、シードラウンドで5,000万円の資金調達を行なったことが2月4日に分かった。このラウンドには、Cyber Agent Capital、East Ventures(EV)、F Ventures、double jump.tokyo(DJT)が参加した。
microverseは2020年11月に創業し、NFTコンテンツのプロデュースや販売支援事業を行なっている企業だ。今回調達した資金は、ファンにNFTコンテンツを簡単に届けられるサービスの開発、web3.0領域において世界で戦うための組織強化の加速のために活用する予定だという。
具体的にはIPやクリエイターのファンが、暗号資産やウォレット不要で簡単にデジタルコンテンツを購入できるサービスを提供していくとのことだ。
また将来的にはIPを起点とした経済圏創出のための事業や、DAO(自律分散型組織)のスキームを活用したファンとIPを共創する事業なども行っていくようだ。
また今回の出資者であるDJTは同日、web3.0時代の組織構築に向けて「コミュニティ型組織」の推進を発表した。DJTが推進する「コミュニティ型組織」とは、DJTの元社員などDJTに関係した人をコミュニティメンバーとして考え、組織枠を超えたパートナー群のことだ。
microverse代表の渋谷啓太氏はDJTの元社員ということで、「コミュニティ型組織」の第一弾として今回の出資が行われたようだ。
NFT購入サービスの詳細、NFT市場の課題について
「あたらしい経済」編集部はmicroverse代表の渋谷啓太氏へ取材を行った。
−−暗号資産やウォレットなしに、デジタルコンテンツを購入できるサービスは、具体的にどのようにして実現するのでしょうか?
NFT化する権利をオフチェーンで販売することにより実現します。具体的なフローは下記4つの通りです。
1.ユーザーは、電話番号やメールアドレス、SNSアカウント等でサービスでアカウント開設
2.NFT化することができるデジタルコンテンツをクレジットカードで購入
3.ユーザーが任意のタイミングでウォレットを自分のアカウントにコネクト
4.ユーザーが任意のタイミングで、自分のウォレットへmint(ガス代は、microverse負担)
1、2までは強制で、3以降はユーザーの意思に委ねることで、実現してます。
−−また現在のNFTにおける日本市場の課題は何だと思っていますか?
日本市場に限った話で言うと、会計基準が未整備なことや暗号資産(クリプト)に対する税制の問題だと考えています。現状のスキームだと、大手のIPコンテンツホルダーさんが、NFT発行のためのガス代支払い用の暗号資産を保有するのにハードルが一定存在し、NFT領域への進出ハードルがあると考えています。 また、日本市場に限らずに言うと、web2と3の間に大きなUX上の壁が存在すると考えています。
現状だと、OpenSeaやUniswap等のweb3のサービスを使うためには、ウォレットやガス代や支払いのための暗号資産が必要で、一般の方がweb3のサービスにアクセスするのにハードルがあると考えています。まだまだどんなNFTであれば、一般の方に喜んでいただけるかわからない状況なので、たくさんの実験が必要と考えています。ただ、このようなUX面のハードルがあると、その実験すらままならない状況なので、このUX上の溝を埋めることが僕らの使命の一つと考えております。
−−日本の投資家らからは、microverseにどのようなことを期待しているのでしょうか?
前問への答えと重複もありますが、web2と3の間の溝をうめ、一般の方がweb3の恩恵を享受できるようにすることを期待されていると思っています。現在のクリプト系のプロジェクトは先進的すぎるものが多い印象もあり、僕らはある種そこに対して逆張りしに行って、一般の方向けのプロダクト/コンテンツを作り続けることで、クリプト/NFTのマスアダプション化に貢献していければと思います。
images:iStocks/BadBrother
デザイン:一本寿和