ロシア当局が中銀の暗号資産禁止提案に方針転換求める
ロシア当局が作成した暗号資産の規制を想定した「ロードマップ」では、暗号資産(仮想通貨)の取引およびマイニングが完全禁止ではないことが、ロイターが確認した文書で1月29日明らかになった。
同国中央銀行は今月20日、金融不安を招く恐れがあるとして、ロシア領内での暗号資産の取引やエネルギーを大量に消費するマイニングを制限することを提案していた。これに対し今回政府は中央銀行に対し方針転換を求めた形になった。
露プーチン大統領は方針転換について関係者に総意を得ることを求めており、財務・経済・デジタル・内務省、ロシア連邦保安庁と中央銀行も含むワーキンググループは検討を進めているという。
地元ビジネス紙RBCが最初に報じた内容によると、ドミトリー・チェルニーシェンコ(Dmitry Chernyshenko)副首相はこのロードマップについて、署名し、承認をしているとのことだ。
ロシアの規制の軋轢
ロイターが確認した文書には「私たち当局はロードマップが、中央銀行を除いた、全ての機関によって全面的に支持されたことに注目している」と記載されていたという。
先日の声明でロシア中央銀行は「私たちは、ロシア領内での民間デジタル通貨の発行と流通の禁止を定めた連邦法を準備し、この禁止に違反した場合の責任を決定することが必要だと考えている」と述べていた。しかしこれについて中央銀行の金融安定化部門の責任者であるエリザベータ・ダニロバ(Elizaveta Danilova)氏は「私たちは、暗号資産の所有を禁止するつもりだとは言っていない」と29日にロイターへ述べたとのことだ。
信用格付け会社であるフィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)はロシア中銀の暗号資産禁止案について、「金融システムのリスクへのエクスポージャーを制限できるが、長期的にはイノベーションを抑制し、ロシアの銀行の技術発展を妨げる可能性がある」と述べたとのこと。またロシアデジタル省も「暗号資産を禁止することはIT産業発展のペースを劇的に遅らせることになる」とし、ロードマップの迅速な承認を求めているとのことだ。
なおワーキンググループの提案では、暗号資産の売買についてはロシア国内の銀行組織のみで提供することを認めているという。
ダニロバ氏はロードマップに関して「最終決定はない」としながらも「中央銀行には法的なイニシアチブを取る権利はありません。これから全ての関係者と積極的にコミュニケーションを取っていきます」と述べたとのことだ。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
「Russian authorities draw up ‘road map’ to regulate cryptocurrencies -document」
Reporting by Alexander Marrow and Elena Fabrichnaya
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters