スカジャンのNFTが販売開始、初回購入者には実物も
横須賀発祥の「スカジャン」のNFTが、ジャパンジャケットより販売されることが分かった。このNFT「ZIPANGU GOLD」の初回購入者は、そのNFTを元にした実物のスカジャンも手に入れることができるとのこと。デジタルスカジャンNFTとフィジカルスカジャンのセット販売と同社は発表している。
ジャパンジャケットは、1950年創業の横須賀ドブ板通りにあるスカジャン専門店「MIKASA」と、スカジャン絵師の横地広海知氏が共同設立した会社だ。今回の取り組みはスカジャンの魅力を世界へと発信し、新たな市場を開拓するのが狙いとのこと。
ジャパンジャケットによると、スカジャンはもともと買った人の名前や住んでいた場所などを入れ、着る人のアイデンティティを表現する服として楽しまれていたという。また1950年代頃には世界でも有数のお土産になり、その後世界的なハイブランドもコレクションのラインナップとして度々取り上げているファッションアイテムとなっているとのこと。
しかしその一方で、現在のスカジャンはどこの「場所」で買ったかが所有者のアイデンティティに与える影響は少なくなっており、「横須賀のお土産」としての存在意義は年々薄まってきているという。この現状についてジャパンジャケットは「中期的に捉えれば伝統的な図案のスカジャン自体が消滅する可能性がある」と説明している。
ジャパンジャケットは「場所を選ばず物品が購入できる現在において、個人のアイデンティティに影響を与えるような『ここでしか買えないもの』が販売されているのがNFTマーケットである」とし、今回NFTマーケットプレイスのオープンシー(OpenSea)にてスカジャンのNFTを販売することを決めたという。
今回販売される「ZIPANGU GOLD」のスカジャンの柄は、Japanと描かれたMAP柄と竜の柄が採用されており、ゴールド生地のサテンを使用することで「黄金の国ジパング」を再現しているという。NFT版ではその竜の絵柄が背中で動く仕様になっており、ハリウッド作品なども手掛けるインドネシアのCGスタジオが制作に携わったようだ。またそのNFTの絵柄を元にした実物のスカジャンは、日本独自の刺繍技法「手振り」により制作されているとのことだ。
このスカジャンNFTはすでに購入が可能で、現在オープンシーにて0.9ETH(約44万円)にて販売開始している。
なお初回の購入者の実物のスカジャンの受け取り方法だが、購入者はオープンシーでのNFT購入時にメタマスク決済画面をスクリーンショットし、「JAPAN JACKET公式Twitter」にDMで連絡することが必要だ。連絡の上サイズなどを指定し、実物のスカジャンを発送してもらう仕組みとなっている。
なおこのNFT自体は二次流通も可能だが、二次流通でNFTを取得した購入者についてはスカジャン代金を追加で支払うことでフィジカルなスカジャンを購入できる仕組みを検討中とのこと。 また同社は今回の利益にに関して、AR、メタバースウェアラブルなど今後発売予定のプロダクト開発費として全額活用する予定だとしている。
ジャパンジャケット横地広海知氏、一本寿和氏に取材
あたらしい経済編集部は、ジャパンジャケット合同会社のCo-CEO横地広海知氏と、同社COOの一本寿和氏に取材した。
–NFT×ファッションの可能性をどう考えてますか?
横地:私は1981年生まれで思春期に古着ファッションブームを経験しています。その当時ヴィンテージのデニムやスニーカーは全国的な共通通貨のように熱狂的に取引されていました。「ファッションになんかお金を使わない」と言われだして久しくたちますが、ファッション系NFTにはかつて街にあふれていたような服を所有する喜びの熱量を感じます。いち洋服好きとしても、スカジャンの専門家としてこのエネルギーの中で楽しい遊びができるのではとワクワクしています。
一本:SNSでファッションが表現されるようになり、今後あらゆるファッションアイテムはARやメタバースアイテムなどで表現されると思い、ファッションアイテムはデジタル上で取引されてもよいのではないかという視点に立ちました。そして唯一無二を証明できるNFTをファッションアイテムに落とし込むことで、個人のアイデンティティを今までにない新たなファッションとして表現できるのではないかと思っています。
–AR、メタバースウェアラブルなど今後発売予定とありますが、具体的にどのようなアイテムを構想してますか?
横地:スカジャンはアイドルやアニメのグッズなどでも人気なように、数少ないキャンバスになる洋服です。それゆえ、アイコンによってコミュニケーションを行うNFT業界とのシナジーがとても高いだろうと感じています。柄を楽しむスカジャンの文化をARで拡張させ、飛び回る龍を連れて歩けるジャンパーを開発したり、クリプトアーティストとコラボした柄でメタバースでもフィジカルでも着用できるスカジャンを作ったりなどということを構想中です。
一本:まずは「Decentraland(ディセントラランド)」での表現を考えています。
–今回の取り組みに込めた想いを教えてください。
横地:この度、半年以上準備した本格的なNFTスカジャンの第1作目をようやくリリースできました。日本はかつて世界一のお土産の国として世界各地のお土産(スーベニア)を作っていた時期があります。スカジャンはまさにその象徴で、「スカジャン発祥の地」横須賀ドブ板通りはかつて世界一のスーベニアの町でした。
しかし今やスカジャンは世界中で買えてしまうようになりました。だからこそスカジャンの最先端を発信しつづけスカジャンカルチャーを継承し続けられるようなブランドがドブ板通りに必要だと思いJAPAN JACKETを設立しました。今回の取り組みで、横須賀からスカジャンカルチャーを世界に発信していきたいと思っています。
ZIPANGU GOLDの動画
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