DNPが「n次創作物」販売の実証実験
大日本印刷(DNP)が、ブロックチェーンを活用した画像ライセンス(利用許諾)販売を行うビジネスモデル構築を目指し、12月6日より実証実験を開始したことが分かった。
発表によるとDNPは、ブロックチェーン技術を活用したライセンス販売を行うことで、安全・安心な「n次創作」の活動を支え、コンテンツ関連市場の活性化を目指すとしている。なお「n次創作物」とは「二次創作物」以降、クリエイター間のさらなる連鎖により作られる作品などを指す。
DNPによると、現在「n次創作物」による顕在的な市場は国内で年間約1兆2千億円と言われている一方で、ライセンス処理ができないために「n次創作物」が販売できない潜在的な市場が年間約1兆4千億円規模になると推測されているとのことだ。
この実証実験は第1弾・第2弾に分けて実施されるとのこと。12月6日~2022年1月31日の実施期間を予定する第1弾では、クリエイターのニーズなど市場調査を行う。
具体的には、株式会社クリーマが運営するハンドメイドマーケットプレイス「Creema(クリーマ)」にて、Creemaに登録している個人クリエイター等によるフランス国立美術館連合(RMN -Grand Palais)が保有し、DNPアートコミュニケーションズが提供するアート画像を使った創作作品のテスト販売を実施。Creemaに登録している人気クリエイターのニーズをヒアリングし、購入者が希望する価格条件や作品ジャンルの需要、サイト利用条件などを調査するという。
2022年春ごろを目途に行われる第2弾の実証実験では、個人クリエイター等が「n次創作」で活用できるようにブロックチェーン技術を実装し、アート画像のライセンス販売を行うという。実証実験サイト「イメージアーカイブ・ラボ(Image Archives Lab)」を新たに立ち上げる予定とのことだ。
今後DNPは「n次創作物」販売のビジネスモデル醸成の他、3DCG等を活用した仮想空間など、使用シーンの拡張を見据えてコンテンツジャンルの拡充を行うとし、それにより多様なクリエイターに向けてサービスを提供し、2025年度に年間約5億円の売上を目指すとしている。
大日本印刷株式会社担当者へ取材
あたらしい経済編集部が大日本印刷に採用予定のブロックチェーンと技術提携先を確認したところ、現段階では開示できないとのことだった。
なお同社マーケティング本部アーカイブ事業推進ユニット事業開発第2部第3グループ リーダー 安田芽里氏より、今回の取り組みについて以下のコメントを貰った。
『個人など多様なクリエイターのみなさまによる「n次創作物」が世界的に広がりつつある中、我々のイメージアーカイブ・ラボの取り組みを通じて、多くのみなさまがアートをより身近に感じて創作活動を活発に行い、適切なライセンス処理がなされることで創作作品の販売が安全・安心にできるような“ホワイトマーケット”の醸成を図り、アート・コンテンツ市場の活性化に寄与したいと考えております』
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参考:DNP
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Navidim