商流と物流を繋いだトレーサビリティの検証へ
テクノスジャパンとchaintope(チェーントープ)が、ブロックチェーンを活用した「博多あまおう」輸出トレーサビリティの共同検証の開始を11月12日に発表した。
この検証は、テクノスジャパンが提供するDX協創プラットフォーム「Connected Business Platform(CBP)」と、chaintopeの独自ブロックチェーンを利用した「Tapyrus API(タピルスAPI)」を連携させて実施される。
来年1月に実施する「博多あまおう」輸出で、物流のトレーサビリティに商流の受発注情報を組み合わせ、生産管理やリスク管理における効果を検証するとのことだ。
具体的には今回の実証で、商流側から取引中の商品の実物について今どこでどの様な状態なのか把握出来るようになるとのことだ。
品質に影響が出るような商品管理(温度・湿度)の問題が把握できれば、販売店で問題が顕在化するより前に、問題の発見・検知が可能となるという。それにより大幅な業務改善効果や迅速な対応やフォローが期待できるとのことだ。
さらに商品を指定してリアルタイムの状況や位置情報などを確認する事が可能となるようだ。これらは既存の商流管理では観測されないデータのため、マーケティングや業務効率化に活用できるという。
Chaintope取締役COO村上照明氏に取材
「あたらしい経済」は今回の取り組みに関して、Chaintope 取締役COOの村上照明氏に取材した。
–今回の取り組みで新しいポイントは何でしょうか?
今回リリースしたテクノスジャパン様との取り組みは、物流のトレーサビリティ情報を商流側と連携した点がこれまでに無い点です。
これによりこれまで商流側のシステムでは企業は受発注や取引といった観点からの情報しか見えていませんでしたが、実際にどれだけの商品が、いつ、どこを通過し、どれだけ店頭に届いたのかを可視化する事が可能となります。
また物流という実際の契約履行の状態がわかるため、商流に存在する請求権がエビデンスを持ち、分割可能な状態で取引する、といった事も考えられます。
–実際の物流のトレースを行う際の情報取得(ブロックチェーンへの記録)はどのように行っているのでしょうか?
物流のトレーサビリティ情報は前回同様に対象農産品1パックごと、その1パックを複数箱詰めした1箱やそれをまとめた1甲(こおり)と呼ばれる単位それぞれにQRコードを貼付し、専用アプリケーションで読み取る事でブロックチェーン上に書き込んでいます。
現時点では未実装ですが、将来的にはRFIDタグを活用した自動読み取りからの記録も検討しております。
–情報を取得するロットはどのくらいなのでしょうか?
農産品ですので明確な数値は収穫次第ですが、まずは100パックを対象として実証を検討しております。
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参考:チェーントープ
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