ビットコイン、ETFの期待とインフレ懸念から、6ヶ月ぶりの高値で推移
ビットコインは10月18日、米国初ビットコイン先物上場投資信託(ETF)の上場を控え、投資家が暗号資産の取引量を増やすことを期待から、6カ月ぶりの高値付近で推移した。
米国証券取引委員会(SEC)が異議を唱えなければ、プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETF(ProShares Bitcoin Strategy ETF)は、ファンドマネージャーが計画の書面申請をしてから75日間の期間を終え、10月19日に取引を開始することができるようになる。
他のファンドマネージャーも数日から数週間のうちにビットコインETFを上場させる可能性があり、それによってデジタル資産への投資が拡大する可能性が見込まれる。
ビットコインの最終価格は62,288ドルで、10月15日の6か月ぶりの高値62,944ドルに近く、4月の史上最高値64,895ドルにはまだ及んでいない。
またイーサ(イーサリアム)は3,866ドル前後で取引され、9月中旬以降ビットコインと連動し、上昇している。
オーストラリアのメルボルンにあるペッパーストーン(Pepperstone)社のリサーチ部門責任者であるクリス・ウェストン(ChrisWeston)氏は「先物価格に連動する一連のビットコインETFのニュースは、この分野を注視している人にとっては目新しいものではなく、多くの人にとっては一歩前進だが、一部の人が感じているような画期的な変化ではありません。私たちは以前、ビットコイン現物(スポット)ETFに興奮したことがありますが、これは規制面でもっと努力が必要かもしれません」と述べている。
現在、米国でビットコインETFの発売を申請しているファンドマネージャーには「VanEck Bitcoin Trust、ProShares、Invesco、Valkyrie、Galaxy Digital Funds」などが存在している。
先週の金曜日に、ナスダック(Nasdaq)は「Valkyrie Bitcoin Strategy ETF」の上場を承認した。そして世界最大のデジタル資産運用会社であるグレースケール(Grayscale)は主力商品であるグレースケール・ビットコイン・トラストを現物(スポット)ビットコインETFに転換することを計画しているとCNBCが日曜日に報じている。
米国証券取引委員会(SEC)とビットコイン先物ETFを発行する可能性のある企業との間で、数ヶ月にわたり議論された後、SECは個人投資家と機関投資家の両方に暗号資産への投資機会を拡大するためのいくつかの申請を承認する準備が整ったようだ。
ETFの発行会社が採用しているルールでは、SECがETFを明示的に承認する必要はなく、米国の規制当局が異議を唱えなければ、75日後にETFを発行することができることになっている。
米国初のビットコインETFが承認されることで、現時点では投資していない機関投資家からの資金流入のきっかけになると、暗号資産の投資家は期待している。
また世界的なインフレ懸念の高まりにより、中央銀行が景気刺激のためにお金を刷って通貨を大量に発行しているのとは対照的に、供給量が限られているビットコインへの需要が高まっている。
ニッセイ基礎研究所の佐久間誠氏は「これまでのビットコイン価格上昇とは異なり、市場にはそれほどの高揚感はないようです。そしてインフレは一時的なものではないと考える投資家が増えており、インフレに対するヘッジとしてビットコインが選ばれている可能性があります」と述べている。
(Reporting by Hideyuki Sano in Tokyo and Tom Westbrook in Singapore; Editing by Vidya Ranganathan and Sam Holmes)
翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済) ※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです
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