ソフトバンクやSBIら、「Elliptic」に出資
暗号資産のマネーロンダリング対策ソリューションを提供するエリプティック(Elliptic Enterprises Limited)が、約70億円(6000万ドル) のシリーズCの資金調達を実施したことが10月12日に分かった。
発表によればこのラウンドはEvolution Equity Partnersが主導し、新たにソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SoftBank Vision Fund 2)に加え、既存投資家であるAlbionVC、Digital Currency Group、Wells Fargo Strategic Capital、SBIグループ、Octopus Ventures、SignalFire、Paladin Capital Groupが参加したとのことだ。
2013年に英ロンドンで設立されたエリプティックは、暗号資産取引のリスク評価・分析を行うマネロン対策ソリューションを金融機関、政府機関、フィンテック企業および暗号資産関連事業者に提供している企業だ。
調達した資金は、グローバルネットワークへの投資、特に米国におけるエリプティックのチーム拡大に活用していくと発表されている。
エリプティックのCEOであるシモーネ・マイ二(Simone Maini)氏は調達に関して、次のようにコメントしている。
「エリプティックは、暗号資産交換業者から世界の主要銀行まで、金融機関等が暗号資産をより安全に受け入れることをサポートしています。今回の投資ラウンドは、金融業界が暗号資産を導入する機会創出となるでしょう。そのエコシステムにおけて私たちは重要な役割を担います」
ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズの投資家であるニール・クーニャ・ゴメス(Neil Cunha-Gomes)氏は次のようにコメントしている。
「エリプティックはこの分野のパイオニアであり、カスタマイズに長けたプラットフォームは数多くの金融機関等から信頼されています。私たちは、安全に暗号資産をグローバル展開する彼らのミッションにおいて、シモーネとEllipticチームをサポートできることを大変嬉しく思っております」
※以下10月14日10時45分に追記
エリプティックAPACセールスヘッドのイヴォンヌ・ウン氏へ取材
あたらしい経済編集部はエリプティックAPACセールスヘッドのイヴォンヌ・ウン氏へ取材を行った。
−日本市場をどのように捉えていますか?
暗号資産の市場は次の3つのセグメントで成長すると考えています。
1.暗号資産交換業者
2.NFT関連事業者
3.金融機関
国内は暗号資産の法規制が他国より先行して整備されているため、暗号資産交換業者は今後さらに高度化したマネロン対策の検討が必要とされています。
弊社が提供するソリューションは、暗号資産交換業者に特化した機能等が充実しているため、安全かつ信頼のおける暗号資産市場を構築する上で必須なソリューションになると考えております。
また、急速に成長している国内のNFT市場についても注目をしています。現在、NFTは規制の対象外ではございますが、匿名性の高い取引が不正利用につながる可能性が懸念されています。
Ellipticは健全なNFT市場構築を目指し、Hashport様とのパートナーシップ締結やSBINFT様のNFTマーケットプレイスnanakusaに導入をするなどNFT事業者様へ向けウォレットスクリーニングサービス「Lens(レンズ)」の提供をすでに開始しています。
今年に入ってから、ゴールドマン・サックス、VISA、ペイパル、JPモルガンなど既存の金融業界が暗号資産の導入を検討するケースが増えてきました。中長期的には国内の金融機関等についても暗号資産業界の参入もしくは対策を開始すると予想しています。
Ellipticは今回の投資ラウンドをもって金融機関へ向けたサービス開発を強化する予定であるため業界をリードできると考えております。
−日本市場参入へどのように参入していこうと考えているのでしょうか?
国内法人を2年前に設立し、すでに有名な交換業者様(bitFlyer様、SBIVCトレード様、GMOコイン様、DMM Bitcoin様など)にサービスをご利用いただいております。ネクストステップとして、政府機関や金融機関を中心に業界の啓蒙活動を含め拡販していく予定です。
また、ソフトバンクやSBI等から調達したシリーズCの約70億円は、プロダクトの開発スピードを早め、各国のEllipticチームの人員を増やすためにも利用されるため、より良いサービスを国内のお客様に対しても提供する予定です。
参考:プレスリリース
デザイン:一本寿和
images:REUTERS/ Kim Kyung-Hoon / File Photo