DNP、三菱ケミカル、リファインバースがブロックチェーン活用のサプライチェーン構築実証実験
大日本印刷株式会社(DNP)がブロックチェーン技術を利用した情報管理システムを活用し、バイオマスやリサイクル原料の管理・追跡(トレーサビリティ)や環境負荷の評価指標への対応を含めた、透明性・信頼性の高いサプライチェーン構築について実証試験を行うことを8月25日発表した。
この実証は三菱ケミカル株式会社(MCC)と株式会社リファインバースグループの2社との連携のもと、9月末まで共同で実施される。 情報管理システムには、オランダのサーキュライズ(Circularise)によるサプライチェーン・トレーサビリティシステムが活用される。
このシステムはパブリックブロックチェーンを利用して原料から最終製品まで追跡でき、また独自の暗号化技術により、サプライチェーン内の各企業の機密情報や公開情報を秘匿しながら管理・共有できる。
DNPは、石油由来プラスチックの代替となるバイオマスやリサイクルなどの持続可能な資源を活用していくためには、原材料の使用量などの管理、認証材料などエビデンス管理が重要となるとし、また各サプライヤーのCO2などGHG(温室効果ガス)排出量の可視化や、最終消費者への製品の環境配慮度の見える化も求められていると説明している。
DNP、MCC、リファインバースの3社は今回の実証を通じてバイオマスやリサイクル原料を使用した製品のさらなる高付加価値化や認証材料の管理にも寄与する高いトレーサビリティ精度を有するサプライチェーン構築の有用性を検証していくとのことだ。
なお今回の管理システムに採用されるトレーサビリティ管理プラットフォームを開発したサーキュライズは、今年2月に丸紅株式会社と業務提携契約を契約している。
両社は今後は日本とアジアの化学品市場向けに実証実験を進め、合弁会社設立を視野に入れた事業化を目指していくと発表していた。
昨今、サプライチェーンにおけるトレーサビリティの重要性は増しており、そこにブロックチェーン技術が活用される事例が国内外で多く見られるようになってきた。
IBMのFood Trustは海産物、農産物、オリーブオイルなど多くの食品のサプライチェーンを可視化し、それを基盤に開発されたコーヒー豆のトレーサビリティプラットフォーム「FARMER CONNECT」には伊藤忠商事も参加している。
綿花のサプライチェーン透明性に取り組むUSコットン・トラスト・プロトコル(U.S. Cotton Trust Protocol)やアルミニウム、コバルト、雲母などの鉱物を追跡するプラットフォームなど、その業界やジャンルに特化したブロックチェーン基盤の開発も進んでおり、ブロックチェーンのビジネス活用の一つの可能性として期待されている。
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参考:DNP
デザイン:一本寿和
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