ブロックストリーム、約220億円資金調達
ビットコイン基盤技術を開発するブロックストリーム(Blockstream)が、シリーズBラウンドで約230億円(2億1,000万ドル)の資金調達をを発表した。
このラウンドを主導したのは、英国有数の投資ファンドのバイリー・ギフォード(Baillie Gifford)と香港拠点の暗号資産取引所ビットフィネックス(Bitfinex)やステーブルコイン「USDT」を運営するアイフィネックス(iFinex)社で、ブロックストリームの企業評価額は約3,500億円(32億ドル)となった。
ブロックストリームは、ビットコインに用いられているPoW(proof-of-work)技術の発明者であるアダム・バック(Adam Back)氏がは2014年に設立した企業だ。ブロックストリームはビットコインのサイドチェーンソリューションであるリキッドネットワーク(Liquid Network)の開発・運用などを主に行なっている。
なおブロックストリームは日本のデジタルガレージから2016年に出資を受けており、現在デジタルガレージとブロックストリームは暗号資産関連の金融サービスを開発中だ。そのサービス名はセトルネットで、暗号資産の大口OTC市場に特化したトレーディング会社や取引所、資産運用会社、ブローカー向けの決済サービスである。
セトルネットはトークンの所有者が所有権を移転せずに取引を行えることを前提としながら、トークンの即時グロスDvP決済を実現できるとのこと。また同時に、事業者間で暗号資産の決済代金の支払いに利用可能な円建てトークン、SETTLENET JPY(JPYS)を発行し、スムーズな法定通貨建ての決済を提供するサービスとのことだ。
バイリー・ギフォードの投資マネージャーであるアレン・ファリントン(Allen Farrington)氏はブロックストリームへの出資に関してブロックストリーム公式サイトで次のようにコメントしている。
「この分野で重要な企業に参加し、マイニングとリキッドネットワークの両方の開発と制度化を推進できることを光栄に思っています。私は、リキッドネットワーク上のトークン化された証券が、資本市場の構造に変革をもたらす可能性があると確信しています。
ビットコインベースの開発とブロックストリームの資産発行・管理プラットフォームは、金融インフラの分散化、投資商品の管理の民主化、資本市場のオープン性とプログラム可能性の定着に大きく貢献します。これを実現するためにブロックストリームと緊密に協力していくことを楽しみにしています。」
またビットフィネックスのCTOであるパオロ・アルドイーノ(Paolo Ardoino)氏は、リキッドネットワークの可能性について同サイトで次のようにコメントしている。
「ブロックストリームは、過去7年間、ビットコインのプロトコルの上に構築してきたことで、ビットコインの分野における革新の最前線にいます。ブロックストリームのさまざまな技術がどのように組み合わされるのか、その可能性は明らかです。
テザー・トークン(USDT)のようなリキッド・アセットの上にライトニング・ネットワークを構築できるというだけで、世界中に革命的なインパクトを与えることができます。今後、ブロックストリームとより密接に協力して、このようなサービスを市場に投入できることを楽しみにしています」
なお今回ブロックストリーム調達した資金は、ビットコインのマイニング事業を加速させるために、スポンドリー(Spondoolies)を買収してのエンタープライズグレードのマイナーの立ち上げや、リキッドネットワークのサービス拡張、チームメンバーの拡大に活用していくようだ。
ただリキッドネットワーク上で発行されている米ドルステーブルコイン「USDT」は金融的観点から不透明性が指摘されており、今後ビットフィネックスやブロックストリームがどのように対応していくかは注視されるべきだと考えられる。
参考:ブロックストリーム
デザイン:一本寿和
images:iStocks/BadBrother