佐賀市がリアルタイムでの環境価値の電子証書化に成功
佐賀県佐賀市、株式会社chaintope(チェーントープ)、みやまパワーHD株式会社が、佐賀市における「地域循環共生圏」の一環として佐賀市内でのエネルギー等の地域内循環をリアルタイムで可視化し、ごみ発電電力の地産地消による環境価値の電子証書化に成功し、システム構築が完了したことを8月5日に発表した。
具体的には、佐賀市清掃工場でのバイオマス発電により生み出された再エネ発電実績と、佐賀市の公共施設での再エネ電気供給サービス利用実績を、リアルタイムで自動的にブロックチ ェーンに記録し、市内で電力が地産地消された証明として「環境価値証書」を発行したとのことだ。
そしてブロックチェーンに記録された間違いのないデータを基に、地産地消率、再エネ消費量、CO2削減量をリアルタイムで可視化することにも成功したとのこと。
ブロックチェーンはchaintopeの「Tapyrus」利用
なおこのシステム基盤には、chaintopeが開発したブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」が利用されている。「Tapyrus」は複数の法人で共同運営するコンソーシアムの方針に合わせて、新しい記録を分散台帳に書き込む際のルールを設計できるブロックチェーン基盤だ。
また誰もが公開されているオープンソースソフトウェアを利用して、自由に「Tapyrus」の分散台帳を閲覧することができる。 chaintopeは構築したシステムをCO2排出量可視化APIとしてサービス提供を開始することも合わせて発表している。
chaintope 事業開発マネージャー 北川広氏へ取材
あたらしい経済編集部は、今回のシステムを構築した株式会社chaintope 事業開発マネージャー 北川広氏に取材を行った。
−このシステムでは地産地消率を計算するために、どのような変数が入っているのでしょうか?
地産地消率= 佐賀市公共施設での再生可能エネルギー電力消費量 / 佐賀市清掃工場ごみ発電での再生可能エネルギー電力発電量
なお、 佐賀市清掃工場ごみ発電での再生可能エネルギー電力発電量 = バイオマス発電電力量 * バイオマス比率(再エネの割合) です。
−この技術スタックならではの特徴はなんでしょうか?
今回は、電力データを取得可能なすべてのルート(Bルート及びCルート)から取得しました。 今回の電力データの取得場所は、佐賀市内の実際の避難所としても利用される公共施設からデータを取得しています。
発電側については、佐賀市清掃工場ごみ発電所、需要側については、佐賀市役所本庁舎などの7施設からデータを取得しております。発電側需要側共に、今後対象施設を拡大しN対Nでの電力データの動きを可視化する予定です。
電力データの取得間隔は既存のスマートメーターから30分単位でのデータ取得したハッシュ値をブロックチェーンTapyrusに記録しています。 リアルタイムで自動的に取得された電力データを基に、電力利用量、地産地消率、CO2削減量をグラフとして可視化しました。
今回は、環境価値の証書化が完了しまして、真正性が担保された要領でデータをブロックチェーンに記録し、今後の電力融通や地域通貨との連携の基盤が整いました。
「グリーン×デジタルと地域の活性化」セミナー動画の公開
なお佐賀市では、脱炭素への取り組みを加速させるために令和3年7月29日(木)に、東よか干潟ビジターセンター「ひがさす」において「グリーン×デジタルと地域の活性化」と題したセミナーを開催したとのこと。
そのセミナーで今回構築されたシステムのデモンストレーションが行われている。セミナーの動画は以下の通りだ。
images:iStocks/(kokoroyuki・dalebor)
デザイン:一本寿和