バイナンスのCZ、各国の規制へのスタンスや方針に関する文書公開
暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の創業者兼CEOであるCZ(Changpeng Zhao)氏が、7月7日に創業からの取り組みや、現状の規制環境、今後の方針などをまとめた文書を公開した。
その文書では、「バイナンスは業界に明確なガイドラインが存在する以前から、ユーザーの最善の利益を優先するために、常に最高水準のサービスが提供できるようにに運営してきた」と説明されている。
厳しい基準で運営してきたのは、世界中の規制当局と状況などを共有する目標があるからとのことだ。
具体的には厳格なインサイダー取引ポリシー(30日以内にあらゆる資産の活発な取引を行わない)、ユーザー資産を保護するためのSAFU(Secured Asset Emergency Fund)、厳格な上場基準と上場チームを分離するためのファイアウォールなどを説明している。
SAFUとは取引所にてユーザー資産に大きな損失が出た場合に備えているファンドのことである。
またあらゆるバックグラウンドのユーザーに対して、十分な情報を得た上で暗号資産に関する投資の意思決定を行えるよう、チュートリアルやバイナンス・アカデミーを通じた教育リソースに早い段階から投資してきているとのことだ。
そしてバイナンスはこれまで、米国内国歳入庁(IRS)、英国南東地域組織犯罪ユニットなどの法執行機関と協力して、マネーロンダリング、テロリストの資金調達、詐欺などのサイバー犯罪を取り締まることで、ユーザーを保護してきたとのこと。
2021年には、これまでに5,600件の調査依頼の支援を完了しており、これは2020年と比較して100%の増加となったようだ。最近では、ダークウェブでの活動や著名なサイバー攻撃によって5億ドル以上の損害賠償金を洗浄した、多額のサイバー犯罪組織の摘発を支援したとのこと。
また現状の規制動向について、CZ氏は「長期的には法規制の枠組みが整備されることは、誰もが日常生活の中で暗号資産を必要不可欠なものとするための強固な基盤にするために重要である」との考えを示している。
なおCZ氏は、暗号資産の始まりと自動車産業の始まりの類似点を例に挙げ「自動車が発明された当初は交通法規も信号機も、安全ベルトさえもなかったけれど、車が道路を走る中で、法律やガイドラインが作られていった」と説明している。
そして今後の方針について、CZ氏は「1.国際的なコンプライアンスチームの拡大、2.すでにあるコンプライアンス・パートナーシップを強固にすること、3.現地の規制を遵守するために、オペレーションとビジネスをローカライズすること」に力を注いでいくとのことだ。
参考:バイナンス
images:iStocks/Anastasiia-Makarevich
デザイン:一本寿和