米金融サービス大手NCRがNYDIGと提携、650の金融機関で暗号資産取引を可能に
米金融サービス大手のNCRがデジタル資産管理会社NYDIGと提携したことが6月30日のフォーブス(Forbes)の報道で明らかになった。
NCRは1884年に創業した米国の金融サービス・流通サービス企業である。主なクライアントは銀行などの金融機関で、ATM・POSシステム・小切手処理システムなどを提供している。
フォーブスによると、NCRはNYDIGの提携の一環として、NCRのサービスを利用している650の金融機関の利用者に暗号資産取引サービスを提供するとのことだ。
暗号資産取引の提供に当たり、課題となるのが暗号資産事業に関わる厳しい規制であるが、今回の提携ではNCRのクライアントである金融機関が実際に暗号資産を保管するわけではなく、NYDIGがカストディの役割を担う。そのため金融機関側が規制を満たす必要はないとのことだ。
今回の提携の背景には、銀行から暗号資産取引所への資金流出を防ぎたいという銀行側の要望があったとのこと。従来、銀行の利用者は暗号資産を購入するために外部の取引所に資金を移動する必要があったが、この提携により、利用者は銀行のアプリケーションの一機能として暗号資産取引を利用できるようになるとのことだ。
フォーブスによると、NYDIGの社長であるヤン・ザオ(Yan Zhao)氏は「これらの銀行の多くは、預金者からの最大の流出先のひとつが、銀行からコインベースのような取引所への資金移動であることを認識しています。だからこそ、銀行は自分たちのためにも、預金者のためにも、この機能を手に入れたいと思っているのです」と述べているとのことだ。
参考:Forbes
デザイン:一本寿和
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