大暴落した「TITAN」のアイロン・ファイナンスとは?
DeFi(分散型金融)プロジェクトの1つ「アイロン・ファイナンス(Iron Finance)」の独自トークンである「Iron Titanium(TITAN)」が6月15日に暴落したことが多くのメディアで報じられている。
「アイロン・ファイナンス」はアルゴリズム担保型のステーブルコインプロジェクトで、ポリゴン(Polygon)とバイナンススマートチェーン(Binance Smart Chain)上で展開されていた。
今回「TITAN」が大暴落をしたのは、ポリゴンのブロックチェーン上でのプロジェクトだ。 「アイロン・ファイナンス」の独自トークン「TITAN」の価格は下落前65ドルまで上昇したが、急激な売りが起こったことでほぼ0ドル(0.000000035ドル)まで短時間で下落した。
「アイロン・ファイナンス」のブログでは今回のことは「現代の取り付け騒ぎ」と説明されている。 「アイロン・ファイナンス」は米ドル担保型のステーブルコイン「USDC」と「TITAN」のペアで合成される独自ステーブルコイン「IRON」をポリゴン上で発行していていた。
なおバイナンススマートチェーン上では「BUSD」と「STEEL」トークンを担保として「IRON」が発行されていた。「USDC」に関しては75%がスマートコントラクトにロックされ、残り25%が「IRON」の償還に利用されている仕組みだった。
「アイロン・ファイナンス」の公式ドキュメントでは、アルゴリズム担保型のステーブルコインのリスクについて「アルゴリズム担保型ステーブルコインは、資本準備金を使用しません。一般的には、アルゴリズムやメカニズムに純粋に依存しており、供給量が多すぎる場合はトークンをバーンし(価格を上げる)、供給量が少なすぎる場合は新しいトークンを鋳造/ミント(価格を下げる)します。
アルゴリズム担保型ステーブルコインが成功するためには、継続的な成長が必要です。価格が暴落した場合、コインを清算するための担保がなく、保有者の資金は失われてしまいます」と説明されていた。
そして6月15日、実際にポリゴン上でTITANの価格が暴落し、IRONをステーブルさせることができなくなった。暴落した理由については公式及び複数のメディアがクジラ(大口投資家)の大規模な売りが原因だと伝えている。
投資家のマーク・キューバンが語る規制の必要性
この「アイロン・ファイナンス」に著名投資家であるマーク・キューバン(Mark Cuban)氏が投資していたことも大きく報道されている。同氏は今回の価格大暴落の影響を受け、ステーブルコインには規制が必要だと説明しているとブルームバーグが6月17日に報じている。
同氏はブルームバーグへ今回の投資から学んだことやステーブルコインへの規制について、次のようにメールにて説明しているとのことだ。
どんな新しい業界でも、お金を稼ぐためだけではなく、学ぶためにリスクを負うことがあります。DiFi運用では、収益などの計算がすべてですが、重要な指標を判断するための計算を怠ったのです。 投資額は、すべての「I」と「T」に印をつける必要性を感じるほど大きくはありませんでした。
しかしもしあなたが学んだ教訓を探しているなら、本当の問題は規制の問題です。多くのプレイヤーが、新しいL1やL2でステーブルコインを確立しようとするでしょう。勝者にとっては、非常に有利な手数料やアービトラージのビジネスになります。
ステーブルコインとは何か、どのような担保が認められるかを定義する規制が必要です。1ドルに対して1ドルの米国ドルを要求すべきか、あるいは米国債などの許容できる担保オプションを定義すべきか。
ステーブルコインと呼べるようにするための担保が1対1でない場合、そのリスクの計算は、すべてのユーザーに対して明確に定義され、リリース前に承認されなければならないのでしょうか?
おそらくステーブルコインが有用であるためには、数億円以上の価値が必要であることを考えると、登録しなければならないでしょう。
参考:Iron Finance、ブルームバーグ
images:(paitoonpati・msan10)
デザイン:一本寿和