トークン活用でカーボンニュートラルへ、暗号資産流動性プロバイダーGSR
暗号資産(仮想通貨)の流動性プロバイダーである香港GSRが気候変動問題に取り組むMOSS(モス)とのパートナーシップにより、ビットコインのマイニング事業を含む事業活動全体をカーボンニュートラルにすることを6月3日に発表した。
MOSSは「MCO2」というカーボンクレジットトークンを発行しており、それにより森林の保全、雇用の創出、そして新たな持続可能性への取り組みを促している。
今回のパートナーシップにより、GSRはアマゾン熱帯雨林の森林破壊が進んでいる地域の土地を保護することを目的とした「Fortaleza Ituxi Project」から、トークン化されたカーボンクレジットを購入することで、二酸化炭素排出量を相殺するとのことだ。このトークンの購入は、MOSSプラットフォームによって行われ、カーボン使用量の計算は、国連の気候変動に関する政府間パネルの第5次評価報告書に記載された方法と「温室効果ガスプロトコル(Greenhouse Gas Protocol)」で定められた測定方法に基づいて行われるとのことだ。
またGSRは2021年後半にクリーンエネルギーを主な動力源とするマイニング機器を北米に追加配備することを検討しているようだ。
GSR USAのCEOであるトレイ・グリッグス(Trey Griggs)氏は「ビットコインの市場活動が活発になるにつれ、マイニングとエネルギー使用の問題は、業界の問題の一つとなっています。代替エネルギーの使用を増やすなど、重要なステップが踏まれていますが、他のイノベーションと同様に、勢いがつくまでには時間がかかります。カーボンフットプリントをオフセットし、代替エネルギーの使用をさらに拡大するという当社の取り組みは、業界がより環境に優しいインフラへと移行するのを支援するという当社のコミットメントの一環です」とコメントしている。
またMOSSのCTOであるレナン・クルーガー(Renan Kruger)氏は「GSRとの提携は、暗号資産のマイニングにまつわる気候問題に取り組む上で、大きな一歩となります。私たちは他の企業がこれらの初期の動きに追随することを望んでいます。時間が経てば、クリーンエネルギーのコストが下がり続ける中で、トークン化されたカーボンクレジットプログラムの透明性と親しみやすさがマイナーにアピールすると信じています」とコメントしている。
参考:GSR
デザイン:一本寿和
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