欧州投資銀行がAI・ブロックチェーン企業への投資に関するレポート公開、米中とEUの差が明らかに

欧州投資銀行がAI・ブロックチェーン企業への投資に関するレポート公開、米中とEUの差が明らかに

欧州投資銀行(EIB)が「Artificial intelligence, blockchain and the future of Europe」と題するレポートを公開した。レポートではAIやブロックチェーン技術の社会的影響や米中との投資実績や現状の差を示している。

まず欧州投資銀行(EIB)はAIとブロックチェーン技術に関して「AIとブロックチェーン技術は、私たちの仕事、旅行、休暇、そして社会や日常生活の習慣化に革命を起こす可能性を秘めています。AIはCOVID-19ワクチンの開発・製造の迅速化に不可欠であり、ブロックチェーンは金融システムを破壊するだけでなく、温室効果ガスの排出量の追跡・報告、商業輸送の最適化、データのプライバシー保護などにも役立つ可能性を秘めています。倫理観と持続可能性の原則に基づいた両技術のさらなる発展は、私たちの成長のための新たな道筋を作り、私たちの社会を真にデジタルで環境に優しいものにするための技術的ソリューションを推進し、最終的には地球の居住性を維持する可能性があります」と説明した。

レポートではEUとアメリカや中国とのAIおよびブロックチェーン関連企業への投資額の差などが調査されている。EUのAIとブロックチェーン企業への投資額はアメリカや中国と比較すると年間約60~120億ドル足りていないとのことだ。世界全体でAIおよびブロックチェーン技術への年間株式投資額300億ドルのうち米国と中国が80%以上を占めている。一方でEUは年間約21億ドルの投資額となっており、世界規模の金額の7%に過ぎないとのことだ。

また欧州投資銀行はレポートにて「2000年から2019年にかけて、米国ではAI企業の買収が526件ありましたが、欧州連合(英国を含む)では139件しかありませんでした。このことは、EUにおける技術系の新規株式公開(IPO)の価値が限られていることと相まって、EUにおける破壊的技術への投資の出口機会が少ないことを説明することができます」と企業のイグジット戦略に関する米国との差を示している。また米国と比較して、EUにはAIやブロックチェーンを専門とするベンチャーキャピタル投資家が少ないことも説明している。

参考:欧州投資銀行
デザイン:一本寿和
images:iStock/Rawpixel・Ninja-Studio

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

合わせて読みたい記事

SEC、VanEckとWisdomTreeのETF提案に対する審査期間を延長

米証券取引委員会(SEC)が、米証券取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)が提出した暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)の現物ETF(上場投資信託)に関する複数の規則変更提案について、審査期間を延長することを4月14日に発表した。それぞれ現物ETFの発行および償還を可能とする内容が含まれている

【4/15話題】SBCメディカルGHD・ストラテジー・バリューCがビットコイン追加購入、クラーケンが株式とETF取引開始など(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

GrayscaleのイーサリアムETFステーキング提案、SECが審査期間を延長

米証券取引委員会(SEC)が、米シカゴの証券取引所NYSEアーカ(NYSE Arca)が提出した「グレースケール・イーサリアム・トラスト(Grayscale Ethereum Trust:ETHE)」および「グレースケール・イーサリアム・ミニ・トラスト(Grayscale Ethereum Mini Trust:ETH)」に関する規則変更提案について、審査期間の延長を決定したと4月14日に発表した