BTCやUSDCの利回りを証券化、機関投資家向けファンド「Securitize Capital」設立
米証券化プラットフォームのセキュリタイズ(Securitize)が完全子会社であるセキュリタイズ・キャピタルの設立を5月26日発表した。セキュリタイズ・キャピタルはデジタル資産ファンドのオルタナティブ投資マネージャーとして、暗号資産や分散型金融(DeFi)へのエクスポージャーをデジタル資産証券の形で投資家に提供する。このファンドの株式はアルゴランドブロックチェーン上に記録されたデジタル資産証券として発行され、セキュリタイズが名義書換代理人となる。
セキュリタイズ・キャピタルが設立された背景として「機関投資家が暗号資産へのエクスポージャーやDeFiを通じて得られる利回りにアクセスするのは複雑であるから」とリリースにて説明されている。
セキュリタイズ・キャピタルの2つの主力ファンドは、6月初旬にローンチされる予定だ。これらのファンドは投資家に「BTC」、または米ドルステーブルコイン「USDC」への直接的なエクスポージャーを提供し、現在市場に出回っているファンドよりも高い利回りと低い手数料を実現するとのことだ。具体的にファンド名はそれぞれ「Securitize Capital BTC Yield Fund」と「USDC Yield Fund」で、管理手数料は年間0.5%となる。またこれらの商品は、伝統的な金融市場と同期して動く可能性が低いため、他の市場の動きに対する潜在的なヘッジとなり、強力な潜在的な利回りのドライバーとなるため、バランスの取れたポートフォリオの一部としてユニークな役割を果たすとリリースで説明されている。
セキュリタイズ・キャピタルは、デジタルバンクのアンカレッジ・レンディングとプライム・ブローカーのジェネシスに融資案件の仕様などを規定してもらう。またMG Stover&Coによってファンドは管理され、Spicer Jeffriesによって監査される。
セキュリタイズ社のCEOであるカルロス・ドミンゴ(Carlos Domingo)氏は「私たちは、機関投資家の皆様から、暗号通貨へのエクスポージャーを求める非常に強い要望を目の当たりにしています。彼らは単に暗号資産を保有するだけではなく、DeFi戦略が生み出す利回りへのアクセスを求めています。現在提供されている商品は非常に限られており、ほとんどが利回りがなく、手数料が高いものです。本日発表する機関投資家向けのファンドのようなものは市場になく、今後もこのような商品を導入することを楽しみにしています」とコメントしている。
アンカレッジ・デジタルの社長兼共同創業者であるディオゴ・モニカ(Diogo Mónica)氏は「アンカレッジ・ファイナンシングを通じて、セキュリタイズのような機関がコンプライアンスに則った安全な方法でデジタル資産を貸し出すことができることを誇りに思います。アンカレッジ・デジタルは、デジタル資産へのアクセスを増やすことに常に取り組んでおり、これらのファンドはビットコインとステーブルコインへの投資を、全く新しい参加者にとってアクセス可能なものにしています」とコメントしている。
ジェネシスの機関投資家向け融資部門の責任者であるマット・ボールンスウェイグ(Matt Ballensweig)氏は「ジェネシスは2013年に米国初の店頭ビットコイン・トレーディング・デスクを立ち上げました。それ以来、21年第1四半期の600億ドル以上を含め、毎月数十億ドルの取引、融資、トランザクションを促進するまでに成長しました。機関投資家によるデジタル通貨への需要が高まる中、セキュリタイズと協力できることを嬉しく思います。私たちが協力することで、機関投資家が慣れ親しんだファンドの形でデジタル通貨と利回りを利用できるようになります」とコメントしている。
参考:セキュリタイズ
デザイン:一本寿和
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