韓国中央銀行、CBDC発行や償還を今夏シュミレーション
韓国の中央銀行である韓国銀行が分散型台帳技術(DLT)に基づく中央銀行デジタル通貨(CBDC)の技術提供者となる企業を募る入札依頼書を発表し、いくつかの詳細を明らかにしたことをLedger insightsが報じた。過去に韓国銀行はデジタル通貨のカストディについて、クレイトンやヒュンダイと協議を行っていた。
韓国銀行の分散型台帳ベースのシミュレーションプロジェクトは10ヶ月間行われる予定で、メインとなる第一段階は8月から12月まで行われるとのこと。シミュレーションされる予定のCBDCは、中央銀行が通貨を発行し、金融機関が流通を行う二層構造になっている。
第一段階では、通貨の作成、発行、償還が行われる。発行はネットワークから物理的に切り離された中央銀行のセキュアなコンピューティング環境で行われ、その後、金融機関の電子ウォレットでも同様の通貨が発行される。金融機関の電子ウォレットで通貨が発行されると、その金融機関の中央銀行口座からお金が引き落とされる仕組みだ。それによって同様の通貨が二つ存在する状況を防ぐとのこと。
また第一段階ではいくつかの基本的なユースケースが試行される予定だ。スマートフォンアプリなどのエンドユーザー用ウォレットや、少額の支払いを行うための秘密鍵の保管の実装や運用も行われる。また銀行預金をCBDCと交換することも、テストされる機能の一つとなっている。そしてシュミレーションを通して、最も重要なユースケースはCBDCを使った支払いとのことだ。
第一段階がうまくいけば、第二段階では、国境を越えた送金、オフラインでの決済、規制への対応、有価証券だけでなく美術品などの知的財産を含むデジタル資産を購入するシステムとの統合などが予定されているようだ。
(images:iStocks/Ninja-Studio・NatanaelGinting)