ブロックチェーン推進議員連盟が提言内容を発表
⾃由⺠主党国会議員有志によるブロックチェーン推進議員連盟が「ブロックチェーンを国家戦略に。」と題するブロックチェーンの普及に向けた提言内容を記者向け説明会にて5月20日に発表した。
説明会には同連盟の会長である⽊原誠⼆衆議院議員と事務局長である⼩倉將信衆議院議員が出席し、提言を発表した。
今回ブロックチェーン推進議員連盟が提言を行う理由として、アメリカや中国を代表する各国がブロックチェーンを国家戦略としている中で、日本は国家戦略として扱っておらず、遅れをとっている可能性があるからと説明された。
提言にも「現状ブロックチェーン関連サービスの事業環境の不備などにより、日本の企業・個人資産が海外のブロックチェーンサービスに向かってしまう現象すら起き始めている」と記載されている。
そして同連盟は「国内外における最新動向を把握し、社会実装上の課題を洗い出したうえで、ブロックチェーンが持つデジタル社会における基盤技術としての潜在能力を十二分に引き出し、日本企業の産業競争力強化を促すとともに、国民が広くデジタル化の恩恵を受ける状況をつくることは政治の責務であると言える」とも提言している。
また提言書には、ブロックチェーンの利点が特に活かされる場面として「1.データの信頼性が求められるケース、2.多数の人や多数のシステムが参加するケース、3.国境や行政、会社等をまたぐケース」の3つが挙げられており、今回の提言については、行政システム向きであるプライベートブロックチェーンを主な対象として提言を行うとしている。
そして提言書にはブロックチェーンの普及を促す6つの政策に加え、ブロックチェーンの有用性が期待できる個別テーマや取り組み6つが例示されている。
ブロックチェーンの普及を促す6つの政策
(1)「ブロックチェーンを国家戦略に。」をキャッチフレーズとした国内外への積極的なプロモーションの実施
(2)政府のブロックチェーン政策を一元的に担うブロックチェーン担当官の設置
(3)ブロックチェーン に関する政府間の政策対話実施
(4)政府・自治体システムにおけるブロックチェーンの利用推奨および、それらを通じた技術開発促進
(5)政府・自治体が特定地域・テーマでブロックチェーン普及の旗振り役を担うブロックチェーン特区の積極的な支援(2022年)
(6)政府や自治体が保有するIDと民間IDとの接続プラットフォーム(ワンストップ・ワンスオンリー実現化プラットフォーム)としてのブロックチェーン
ブロックチェーンの有用性が期待できる6つの個別テーマと取り組み
(1)サプライチェーンにおけるブロックチェーン利活用の促進
(2)株主総会におけるブロックチェーン利活用の促進
(3)新しいグローバル産業であるNFTに関する事業環境の整備
(4)セキュリティトークンに関する事業環境の整備
(5)ステーブルコインに関する事業環境の整備
(6)暗号資産に関する規制および税制の改正
政策の進め方について
ブロックチェーンの推進は非金融領域から行っていくことを想定しているようだ。それは金融領域においては法律や税制度など規制面の整理に時間が要するからだと考えられる。
なお木原会長は「ブロックチェーンに最も親和性があるのは、金融分野である」と自身の見解を述べ、両分野を共に推進していく思いであることを強調した。
また非金融領域の具体例として、広島県の「とびしまレモン、サプライチェーンにおけるレモンの品質保証・価格の適正化」の取り組みなどが挙げられていた。
また記者からの「各国に比べ遅れをとっているブロックチェーンを普及する中で、どのようにスピードアップしていくのか」という質問に対し、小倉事務局長は「政府としてブロックチェーンを推進していくというコミットメントが重要である」とし、その為に金融・非金融分野に関わらずブロックチェーンに関わる各省庁との調整を行う担当官をデジタル庁に設置するという2つ目の政策の重要性も説明した。
なおこの提言は5月27日の15時半にデジタル改革担当大臣の平井卓也氏へ行われる予定となっている。
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取材・記事:竹田匡宏、大津賀新也
写真・編集:大津賀新也