ガイアックス、自動運転等のスマートモニタリング実現に向けた社会実験開始
株式会社ガイアックスがブロックチェーンを活用したLiDAR(ライダー)ネットワーク基盤のシステムソフトウェアを開発し、4月1日より京都大学図書館等での社会実験を開始したことを5月10日発表した。
LiDAR(light detection and ranging:光による検知と測距)とは光センサーを用いて、3次元の形状が取得できるカメラのこと。自動運転のセンサーとしてよく使われており、iPhone12やiPadのPro以上の機種にも搭載され、暗闇でのカメラのフォーカス調整や、3D物体スキャナとして使われている技術だ。
リリースによるとスマートシティにおいて、住民に安心安全を提供するスマートモニタリングは基本サービスとなるという。ブロックチェーンを活用したLiDARネットワーク基盤はそのスマートモニタリングを実現する技術であるとのことだ。
ガイアックスのLiDARネットワーク基盤は、複数の場所に設置されたイメージセンサのデータを統合することで「死角ゼロ」を実現し、自動運転車や宅配ロボット、警備ドローンなどのさらなる性能向上や、イメージデータの新たな利用用途の創造を目的として開発された。なお開発には学校法人芝浦工業大学の新熊亮一(しんくまりょういち)教授、国立大学法人京都大学、株式会社エクサウィザーズが関わっているとのこと。
またこのネットワーク基盤は、複数のイメージセンサ(LiDARやカメラ)から取得したデータを統合した広範囲に渡るデータを、ブロックチェーンによってリアルタイムに保護した状態で共有できるようにし、AIによる予測検知や、自律制御のためのデータ共有などへ応用可能にしたものであるという。屋外では自動車や、ロボット、ドローンの自律移動における制御への応用、屋内では犯罪・事故・三密の予測検知への応用が期待されるとのことだ。
さらに改ざんが発生すると事故に繋がる、AIへの学習データ・事故予測の領域についてもブロックチェーンを使いリアルタイムにデータの正しさを担保することによって、改ざん耐性を持たせているとのこと。一般的にブロックチェーンはリアルタイムな処理について苦手としているが、独自のアグリゲーション技術(データを最適な量に集約する技術のこと)を開発し、最小限の遅延で改ざん耐性をもたせることの実現を目指しているとのことだ。
社会実験においては交通事故のリスク予測を目的に2021年4月から2022年3月までの期間にて、これまでに開発してきたシステムを稼働させ、実地での複数LiDARを用いた3Dイメージデータの取得ならびにそれらを統合したネットワーク基盤の構築し、実環境での稼働実験を実施するとのこと。
LiDARネットワーク基盤は2023年3月までの産業化を目指す。自動車の運転支援にとどまらず、将来的には自動運転車や、宅配ロボット、警備ドローンなどの「死角をゼロにする」役割を担うことを目指し、実地におけるデータ取得・共有し、AIによる学習を進め、基盤技術としてのブラッシュアップをおこなっていとのことだ。
参考:ガイアックス
(images:iStock/darkovujic・LeshkaSmok・dalebor)