米レグテック企業セキュレンシー、Wisdom Tree InvestmentsやState Streetらから約32億円の資金調達

米レグテック企業セキュレンシー、Wisdom Tree InvestmentsやState Streetらから約32億円の資金調達

機関投資家向けのブロックチェーンベースの金融・規制技術のソリューション開発企業の米セキュレンシー(Securrency)が、WisdomTree Investments、Abu Dhabi Catalyst Partners Limited(ADCP)、State Street、U.S. BankなどからシリーズBラウンドで、約32億円(3,000万ドル)の資金調達実施を発表した。

セキュレンシーは金融コンプライアンスに注視した機関投資家向けのDeFi(分散型金融)ソリューションや取引の相互運用性を促進するソリューションなどを開発、提供を行っている企業だ。

リリースでは今回の資金調達について「世界有数のETFプロバイダーであるWisdomTree、米国の資産規模上位15位以内の銀行2行、Mubadalaが支援する投資ファンドから戦略的な支援を受けたセキュレンシーのシリーズBラウンドは、機関投資家の間でデジタル資産の統合の規模と範囲が大幅に拡大していることを証明しています」と説明されている。

セキュレンシーの共同創業者兼CEOであるダン・ドネイ(Dan Doney)氏は「当社は創業時から金融物流に着目し、デジタル資産の発行、交換、管理、サービスをサポートするために、自動化されたコンプライアンスを中心とした真に機関レベルの金融サービスエコシステムを構築してきました。ブロックチェーン技術は、相互に接続された、相互運用可能な将来のグローバル金融において重要な役割を果たすでしょうが、真に実行可能なシステムは、あらゆる金融サービスとシステムをデジタル資産のインフラに接続する必要があります。

Securrencyのコアプラットフォームは、将来的にすべての価値がリアルタイム決済で安全に移動するためのレールとなり、従来は切り離されていた金融市場やエコシステムをつなぎ、スピードと効率を高め、コストを削減するための架け橋となります。そして今回の資金調達は、世界有数の金融サービス機関から戦略的な投資を受けたことで、Securrencyにとって大きな節目となりました。来年は、戦略的パートナーとの緊密な協力関係を維持しつつ、金融物流の最適化という当社のミッションに沿って、規格に準拠した分散型金融(DeFi)やその他の強力な製品を同時に市場に投入していきます」とコメントしている。

ウィズダムツリーの創業者兼CEOであるジョナサン・スタインバーグ(Jonathan Steinberg.)氏は「ウィズダムツリーは、当社のバランスシートを展開する上で、高い戦略的基準を持っています。当社はSecurrencyのシリーズAラウンドをリードし、シリーズBラウンドに意義ある参加をすることに興奮しています。当社は、Securrency社のチームがブロックチェーンベースのフィンテックとレグテックの分野をリードするのに最適な企業であると考えています。当社の継続的な資金提供はSecurrencyと当社の仲間の投資家とともに金融サービスの未来を形作るための支援とパートナーシップの強さを再確認するものです」とコメントしている。

またSecurrencyはアブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)で主要な規制対象の金融サービス事業を設立するためのライセンスを申請し、ADCPとのパートナーシップにより、ADGMからグローバルな市場に向けて最先端のデジタル資産サービスを提供する予定とのことだ。ちなみにADGMはあらゆる種類のデジタル資産に対する厳格かつ先進的な規制の枠組みを誇る、世界有数の金融センターとなっている。

ADCPのCOO(最高執行責任者)兼CFO(最高財務責任者)であるジェームズ・マンズ(James Munce)氏は「資産運用業界とより広範な金融市場のエコシステムは、金融サービスとその環境に対する信頼を構築・維持するために、分散型台帳技術のような新たな開発から多大な恩恵を受けると考えています。

ADGMに多くの資産運用会社を誘致するためには、この地域に適切なパートナーを持つことが成功の鍵となりますが、Securrency社がその技術を市場に投入するにあたり、同社と提携できることを嬉しく思います」とコメントしている。

ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのプロダクト・イノベーションおよびビジネス・ディベロップメントの責任者であるディーン・サカティ(Dean Sakati)氏は「ステート・ストリートは、デジタル資産戦略を進めていく上で、Securrencyと提携できることを嬉しく思います。 私たちは、デジタル資産のサービスモデルを開発し続ける中で、相互運用性、複数の司法権にまたがる規制遵守、アイデンティティ管理のためのソリューションを促進することで、Securrencyが我々の顧客にもたらす価値を信じています」とコメントしている。

U.S. Bankの投資サービス・インターナショナルの責任者であるホスニー・シャディッド(Hosni Shadid)氏は「U.S. Bankでは、現在および将来のお客様のニーズを満たすために、テクノロジーの最先端を行き、新しい商品を先取りすることに努めています。Securrencyへの投資は、Securrencyの有望な技術を証明するものであると同時に、投資サービス業界における将来のコア技術としてのトークン化の重要性を示すものでもあります」とコメントしている。

参考:Securrency

(images:iStock/Abscent84・Максим-Ивасюк・vchal)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している

マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携

米決済大手マスターカード(Mastercard)のマルチトークン・ネットワーク(MTN)が、米銀行大手JPモルガン(JP Morgan)のブロックチェーン基盤決済システム「キネクシスデジタルペイメント(Kinexys Digital Payments)※旧オニキス(Onyx)」と連携したと11月21日発表した