EY、ブロックチェーンを適用したサプライチェーンマネジメントの高度化に関する特許を取得
EYストラテジー・アンド・コンサルティングがブロックチェーンを適用したサプライチェーンマネジメントの高度化に関する特許を取得したことを発表した。
同社が特許を取得した背景には、サプライチェーンマネジメントは消費者からの企業支持率も左右する重要な経営課題になっていて、高度化へのニーズが以前より高まっていることがあるようだ。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングはサプライチェーンマネジメントの課題として「消費者や川下企業に突発的な需要が生まれる可能性があるので、川上企業は多めに在庫を保有しようとする傾向があること」を指摘している。
その課題はブロックチェーン技術を活用し、川上企業と川下企業がリアルタイムの在庫情報を企業間で共有することができれば解決できる可能性があるが、企業同士の在庫情報は機密情報である場合が多くプライバシー問題が発生するとしている。
そこでEYストラテジー・アンド・コンサルティングは、特許にてプライバシー問題を解決しうる案として「在庫情報を共有するのではなく、次回いつ発注が起きそうかという情報をブロックチェーンで共有すること、ブロックチェーンに渡される情報は、公開鍵暗号方式による暗号化および可読性を失わせる加工を行い、万一情報が漏洩しても、情報提供企業以外には意味がないよう処理すること」を考案した。
具体的に在庫数量に関する生データをデータ保有者しか知らない関数で線形変換する数式として、次の計算式が説明されている。
この特許における未引当在庫数量の変化から発注予定日を統計的に日々算出し、 ブロックチェーンを介して川上のサプライヤーに伝達するプロセスは次の通りである。
またこの特許の想定アーキテクチャは次の通りとなっている。
なおこの特許の発明者はEYストラテジー・アンド・コンサルティングStrategic Impactのシニアマネージャー鈴木顕英氏、シニアコンサルタント西山和磨氏、パートナー荻生泰之氏の3者となっている。
あたらしい経済編集部は今回の特許発明者のひとりである荻生泰之氏に対し、「独立性が高いEYストラテジー・アンド・コンサルティングがサプライチェーンマネジメントの高度化をやる意義」について質問を行ったところ、「弊社は、社会の公器として、当特許を起点にエコシステムを形成することで、生産、販売、環境の社会課題を解決し、次世代のサプライチェーン構築に寄与したいと考えています。」と回答があった。
(images:iStock/berya113・metamorworks)