ナスダック上場のオーバーストックがブロックチェーン特化の子会社ファンドを米ペリオン・ベンチャー・パートナーズと統合へ

ナスダック上場のオーバーストックがブロックチェーン特化の子会社ファンドを米ペリオン・ベンチャー・パートナーズと統合へ

ナスダック上場企業のオーバーストック(Overstock.com)社が米ベンチャーキャピタルのペリオン・ベンチャー・パートナーズ(Pelion Venture Partners)と提携したことを1月26日に発表した。

この提携によって、オーバーストックのブロックチェーンに特化の子会社メディチ・ベンチャーズ(Medici Ventures)はペリオン・ベンチャー・パートナーズがゼネラルパートナー(GP)を務める新たなファンドのリミテッド・パートナーに転換することになった。

アメリカの企業形態にはパートナーシップというものが存在する。パートナーシップには他のパートナーの信認義務を負い有限責任のゼネラルパートナーと自己のパートナーシップへの出資額に債務が制限されるリミテッドパートナーの2種類が存在する。ちなみにパートナーは利益等に関する権利は譲渡可能となっている。

新たなファンドの運用資金は約47億円(4,500万ドル)で運用期間は8年。Coindeskによればこの取引の結果、オーバーストック株(NASDAQ: OSTK)は1月25日に11.28%高の7,778円(75ドル)で取引されたとのこと。

Overstockの最高経営責任者ジョナサン・ジョンソン氏は「ブロックチェーン技術は、私たちの相互作用や取引方法を根本的に変える飛躍的な進歩を表しています。2014年以来、当社はブロックチェーン技術を推進する企業への投資を行い、企業を代表して擁護してきました。

私たちはブロックチェーン技術に強気であり続けていますが、これらの資産との関わり方を変えています。株主の皆様に最高のリターンをもたらす方法を評価する中で、ポートフォリオを監督し、その後の投資決定を行うためには、経験豊富なベンチャーキャピタルとパートナーを組むべきだと判断しました。ペリオンはそのために最適な会社です。ペリオンはブロックチェーンとテクノロジーに関する専門知識をアーリーステージの企業と共有しており、多くの企業を経済的成功へと導いてきました」と述べている。

ペリオン・ベンチャー・パートナーズの創業者でゼネラルパートナーのブレイク・モデシツキー氏は「オーバーストックがブロックチェーン資産の価値を最大化するために当社を選んでくれたことを光栄に思います。これらの企業の多くは本当に可能性を秘めています。

私たちのチームはその可能性に到達するための支援方法を知っていると信じています。この取り決めの下では、必要な法的および規制当局の承認を得た後、メディチ・ベンチャーズはリミテッド・パートナーシップに移行します。またオーバーストックもファンドのリミテッド・パートナーとなります。

メディチ・ベンチャーズが運営していたファンドの閉鎖後、私たちは投資決定、投資先企業の取締役会メンバーの任命、メディチ・ベンチャーズが現在保有している資産のすべての株主権の行使に関して、単独の権限と責任を持つことになります。当ファンドの投資期間は8年間で、総資本は4,500万ドルとなります。

ファンドは投資した資本を最初にオーバーストックに還元し、その後、ファンドのリミテッド・パートナーシップ契約に定められているように、成功や撤退の際に利益を分配します。ファンドはセキュリティートークンプラットフォーム企業tZERO社の重要な少数株主持分を保有し、OverstockはtZEROの直接の少数株主持分を保持します」とコメントしている。 

編集部のコメント

このニュースで注目すべきは、オーバーストックがアーリーステージのブロックチェーン企業へ投資をして、得た利益や損失を精算するところにあると感じます。

オーバーストックはブロックチェーン企業で得た利益を、ブロックチェーン技術を活用した事業開発に使っていくのかもしれません。オーバーストック社が今後、ブロックチェーン領域とどのように向き合うか注目です。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStocks/pgraphis・Pict-Rider)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

ビットワイズ、「ソラナ現物ETF」を上場申請

米暗号資産(仮想通貨)運用会社ビットワイズ(Bitwise)が、ソラナ(Solana)を基盤とするETF(上場投資信託)の上場申請を、米国証券取引委員会(SEC)に提出したと11月21日発表した。なおこの申請は、株式取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)を通じて行われたとのこと。またビットワイズは発表上で同商品についてETP(上場取引型金融商品)と記載している

マスターカードとJPモルガン、ブロックチェーン決済ソリューションを連携

米決済大手マスターカード(Mastercard)のマルチトークン・ネットワーク(MTN)が、米銀行大手JPモルガン(JP Morgan)のブロックチェーン基盤決済システム「キネクシスデジタルペイメント(Kinexys Digital Payments)※旧オニキス(Onyx)」と連携したと11月21日発表した