中国が5年後までに世界共通デジタル決済ネットワークを構築か
中国の国家情報センターが主導するBlockchain Service Network(BSN)が2021年の開発ロードマップを1月16日に発表した。BSNは「1.ユニバーサルデジタル決済ネットワーク(Universal Digital Payment Network:UDPN)の構築、2.BSN Networkの拡大を継続、3. Private BSNとエンパワメントプラットフォームの推進、4.BSN Ecosystemの繁栄」の4つを掲げている。
BSNは複数の国際的な銀行やテクノロジー企業と協力して、各国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)をベースに、5年後までにユニバーサル・デジタル・ペイメント・ネットワーク(UDPN)を構築する予定だ。実際にUDPNを利用すると、銀行、保険、ERP、モバイル・アプリケーションなどのあらゆる情報システムがAPIを介して、UDPNのサービスを呼び出すことができ、標準化されたデジタル通貨の送金方法や支払い手続きを実現することができるようになるとのこと。
BSNはより多くのパブリック・シティ・ノード(PCN)を作成し、より多くのフレームワークを統合し、世界中で次々にBSN Portalを構築することにでネットワークを拡大していく予定とのこと。
リリースによれば、中国国内のPCNは150ノードを予定していて、海外のPCNは約50に達して、先進国や比較的に経済成長率の高い発展途上国をカバーする予定とのこと。 またBSNは世界の主流なパーミッションドなフレームワークの統合を完了し、グローバルで30のパブリック・チェーン・フレームワークの統合を完了する予定とのこと。同時にBSNは少なくとも3つの新しいクロスチェーン・プロトコルが発表するようだ。
BSNは中国のデジタル経済と社会統治の中核となる「新しいインフラ」となるために、2021年にBSNのプライベートネットワークとパブリックネットワークを統合して、さらに多言語対応をして、グローバル展開していく予定だ。
BSNは国内のクラウドサービス事業者、フレームワーク事業者、ポータル事業者との連携を強化し、中小企業や個人開発者にとってBSNのサービスをより費用対効果が高く、相互運用性の高いものにするために、新たな地域パートナーを見つけ、BSN Ecosystemを拡大していく狙いがあるとのこと。
編集部のコメント
BSNには中国版とグローバル版が存在しています。中国版はエンタープライズブロックチェーンのみをサポートしていて、現在ハイパーレジャーファブリック(Hyperledger Fabric)と中国のコンソーシアムチェーンであるフィスコブロックチェーンコンソーシアム(FISCO BCOS)が統合されています。
一方グローバル版はイーサリアム(Ethereum)、イオス(EOS)、テゾス(Tezos)、ナーヴォス(Nervos)、ネオ(NEO)、アイアールアイエスネット(IRISnet)を含む多数のパブリックブロックチェーンと統合されています。
ちなみにFISCO BCOSにはテンセントクラウド(Tencent Cloud)、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、ITサービス・プロバイダーのフォームス・シントロン(Forms Syntron)、インターネットサービス・プロバイダーのアン(Anne)などが参画しています。
BSNは2020年4月25日にローンチされていて、着実にグローバル統合が進んでいます。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStocks/NatanaelGinting)