米議事堂襲撃事件、過激派団体への28.15BTCのビットコイン寄付が関与か
米ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)が、2020年12月8に米過激派団体らに合計28.15BTCのビットコインでの寄付金が送られていたことを1月15日に発表した。先週、米国で発生した議事堂への襲撃に直接関与しているかは定かではないが、チェイナリシスは関与可能性を示している。
チェイナリシスのレポートでは「議事堂への襲撃がどの程度事前に計画されていたのかは不明です。ProPublicaの報告によると、数週間前には多くのトランプ支持者がソーシャルネットワークサービスのパーラー(Parler)でイベントを暴力的にすることを議論していたとのことです。しかし現在では、極右政治評論家のニック・フエンテス(Nick Fuentes)を含む多くの高度右派グループや著名人が12月8日の暴動の1ヶ月前に発生した1回の取引で多額のビットコイン寄付を受けていたという証拠を入手しています。またその寄付者がフランスのプログラマーであることを強く示唆する証拠もあります」と記載されている。
またこの寄付者と推定されるフランスのプログラマーは、フランスの暗号資産取引所を経由して寄付用のウォレットに資金を移動させたとのこと。また彼は自らのビットコインアドレスを「pankkake」と呼称しているとのこと。
チェイナリシスはレポートで右派への寄付プロセスの詳細を示している。まず2020年12月8日、ある寄付者が28.15BTC(送金時の価値は約52万2,000ドル)を1回の取引で22の別々のアドレスに送金。これらのアドレスの多くは、極右活動家やインターネット上の著名人に属しているとのことだ。
ビットコインの最大寄付受益者はアメリカの極右政治評論家およびポッドキャスターであるニック・フエンテス( Nick Fuentes)であるとのことだ。フエンテス氏は13.5BTC(取引時レート/約25万ドル)を受け取ったとのこと。その他にも移民排斥団体のブイレード(VDARE)、高右翼団体のイーサン・ラルフ( Ethan Ralph)、そしてまだ所有者が明らかになっていないいくつかのアドレスなど、多額の資金を受け取った人がいるとのことだ。
チェイナリシスはレポートの結論として「これらの寄付が先週の議事堂での暴力的な集会や関連する活動に直接資金を提供したかどうかは分かりませんが、 タイミングは確かに疑惑を煽るものです。バイデン政権が国内の過激主義と戦うためにギアアップしているように、
これらの寄付は、米国内で活動しているものを含め、テロリストとして指定されたすべてのグループや個人の暗号資産の活動を追跡する必要性を思い出させてくれます。主流の決済プラットフォームが過激派のグループや人物を排除していく中で、寄付の仕組みとして暗号資産を採用していくのをみることができるかもしれません。
幸運なことに、暗号資産はブロックチェーン固有の透明性担保のおかげで、法執行機関はリアルタイムでこれらの取引を追跡し、暗号資産関連事業者と協力して、彼らの活動に資金を提供し、暴力行為を行うために使用する可能性のある暴力的なグループに資金が到達するのを防ぐことができます」と記載している。
編集部のコメント
チェイナリシスのレポートではフランスの寄付者が寄付を行う動機について書いたブログポストを掲載しています。
パブリック・ブロックチェーンは金融取引の透明性を担保してくれることは、間違い無いですが、どこまで公開し、秘匿化するべきかは、今後大きな議論を生んでいくと思います。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
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