米デジタル資産サービス企業バックト(Bakkt)が2021年度中にニューヨーク証券取引所へ上場

米デジタル資産サービス企業バックト(Bakkt)が2021年度中にニューヨーク証券取引所へ上場

米インターコンチネンタル取引所(ICE)が2018年に立ち上げたデジタル資産関連子会社のバックト(Bakkt)が、特別目的買収会社(SPAC)のVPC Impact Acquisition Holdings (VIH)に企業価値約2,200億円(21億ドル)で公開企業になるための企業結合に関する最終契約を締結したことを1月11日に発表した。結合された会社は「Bakkt Holdings, Inc.」に改名され、ニューヨーク証券取引所に上場する予定だ。なおこの企業結合は2021年の第2四半期に完了する予定とのことだ。

BakktのCEOに任命されたギャビン・マイケル(Gavin Michael)は「一般的な消費者は豊富なデジタル資産を保有していますが、その価値を追跡することはほとんどなく、それらを管理し活用するためのツールが不足しています。私たちのビジョンは、イノベーションとテクノロジーを通じてデジタル資産に信頼と透明性をもたらし、そのプロセスを通じて、現在顧客口座やロイヤルティ口座に保管されている何兆ドルもの資産を開放し、消費者がそれらを活用できるようにすることです」とコメントしている。

インターコンチネンタル取引所の創設者であり、会長兼CEOであるジェフリー・シュプレッシャー(Jeffrey C. Sprecher)氏は「過去20年間、私は偉大な人々と協力して偉大な企業を株式市場に上場させ、そこからの成長を見守ってきましたが、今日ICEの中で生まれた別の偉大なアイデアが、別の偉大なチームによって支えられ、株式公開を可能にする取引に踏み切ったことを同様に誇りに思います。この画期的な取引でVPCのフィンテック専門家とパートナーを組むことができたことに感激していますし、ギャビンと彼の同僚たちがバックトを次のレベルに引き上げるのを見るのを楽しみにしています」とコメントしている。

VIHのCEOであるジョン・マーティン(John Martin)氏は「VIHでは競争力のある差別化と大きなホワイトスペースを持つ高成長フィンテック企業を特定することを目的としていましたが、バックトとの素晴らしいマッチングを見つけられたことを嬉しく思います。バックトはその多様な収益生成モデルと近い将来の収益性へのパスウェイによって証明されているように、技術的な拡大の中で最も資金調達が行き届いており、最も急成長している分野の1つで強力なポジションを持っています。私たちはジェフ、デビッド、ICEチームのビジョンに感謝し、ギャビンとバックトチームと協力してデジタル資産の市場をリードするポジションを成長させることを楽しみにしています」とコメントしている。

編集部のコメント

バックトは2021年の3月にリテール向けアプリ「Bakkt Cash」のターゲットローンチをリリース文で発表しました。現在40万人以上の消費者がアプリへの早期アクセスのための登録を完了しているようです。バックトはSPACのスキームを通して株式上場の時期を早め、資金を獲得することで、リテール向けのサービス開始をはやめる狙いがあるのだと考えられます。その理由はPayPal、Diem、Robinhood、Cash Appなどリテール向けのサービスを狙っている強力な企業が増えてきているからだと思います。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStock/Bluehousestudio・Kateryna-Bereziuk)

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あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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