フィリピンの主要銀行ユニオンバンクがスタンダードチャータード銀行とブロックチェーンを使ったリテール債券発行の実証実験に成功
フィリピンのユニオンバンク(UnionBank)がスタンダードチャータード銀行(SCB)の子会社SC Venturesとの提携により、債券のトークン化のためのブロックチェーン技術を活用したデジタルプラットフォーム上でのリテール債券発行の実証実験を成功させたことを12月7日に発表した。
ユニオンバンクの3年および5.25年満期の債券は総額で約194億円(90億フィリピンペソ)発行された。
このリテール債券が販売されたユニオンバンクのオンライン債券予約ポータルは、フィリピン初のデジタル化されたプラットフォームであり、利用者はいつでもどこでも社債発行の注文予約を閲覧・発注することができる設計となっている。
またユニオンバンクの利用者は、このポータルを通じて、口座の確認、適合性評価、購入申込書の記入から投資家への割り当てまで、完全にデジタル化されたエンド・ツー・エンドのサービスを体験することができる。さらに利用者はこのポータルを利用することで、債券の購入プロセスの処理時間を数日から数分に短縮でき、債券の購入を完全にペーパーレス化し、より効率的なものにすることができるようになっている。
ユニオンバンクのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼チーフ・ファイナンス・オフィサーのホセ・エマニュエル・ヒラド( Jose Emmanuel Hilado)氏は「デジタルオーダープラットフォームとトークンを利用したバックエンド・インフラの融合は、リテール債券の未来です。実証実験は国連の持続可能な開発目標を支える投資先としての債券の民主化の旅の始まりです」とコメントしている。
SC Venturesのアレックス・マンソン(Alex Manson)氏は「私たちは、個人投資家が債券に直接アクセスできる信頼性の高い透明性の高いプラットフォームを提供することを目的として、ユニオンバンクと共同でこのソリューションを開発しました。今日の発表は私たちが将来のリテール債券のインフラを形成する上でのマイルストーンとなります」とコメントしている。
スタンダードチャータード銀行のASEANのキャピタルマーケッツ部門の責任者を務めるアーロン・グァック(Aaron Gwak)氏は「世界の債券インフラは主に機関投資家向けに設計されており、債券の購入とその後の取引には多くの仲介者が必要で、個人投資家にとってはアクセスしづらいものとなっています。一般的な投資家にとって発行体への直接アクセスルートを提供することは、投資のメリットを十分に享受できるようにするために非常に重要です」とコメントしている。
編集部のコメント
リリースでは、フィリピン証券取引委員会のエフィロ・ルイス・アマトン委員のコメントも記載されています。アマトン委員は「私たちは業界の現役プレイヤーがフィンテックのイノベーションを推進していることを嬉しく思い、フィリピンでのさらなる強化を期待しています。今回の実証実験の取り組みは債券のデジタル化を加速させ、幅広い市場セグメントにサービスを提供するという政府の提唱とよく一致しています。また債券流通プロセスの並列実行の結果は、トークン化と分散型台帳技術の利用の効率性と有効性を測る指標となり得ます。しかし債券のデジタル化を実際に行うためには、委員会の承認が必要です」と発言しています。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
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