テンセント ・クラウドのタイ子会社が旅行業界支援のためブロックチェーンソリューションを導入へ
中国のテンセント・クラウド(Tencent Cloud)のタイ子会社テンセント・タイがブロックチェーン企業シェアリング(ShareRing)と提携して、新しいデジタル文書とID管理ソリューションを活用して、新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされている旅行業界を支援していくプロジェクトを進めていくことが11月17日に明らかになった。
両社は最初にこのプロジェクトをパンデミックの際に渡航制限で特に大きな経済的な打撃を受けた東南アジアの地域で立ち上げる予定だ。
両社が提携することでシェアリングの分散型台帳技術と文字をテキストに変換するテンセントクラウドの光学式文字認識(OCR)を組み合わせ、データ入力の効率化と正確性の向上に貢献していく。また両社は顔認証を利用して本人確認やデータ管理を強化していくようだ。
シェアリングとテンセント・タイは、到着システム、旅行保険会社、航空会社、ホテル、小売店のe-visasと統合できる匿名の連絡先追跡パスポートの開発にも取り組んでいるようだ。
シェアリングのCEOを務めるティム・ボス(Tim Boss)氏は「シェアリングは世界初のアイデンティティおよび文書管理プラットフォームの開発においてテンセント・クラウドと協力できることを非常に嬉しく思っています。私たちは世界で最も信頼性が高く、高性能で、世界的に認知されているクラウドサービスプロバイダーの1つであるテンセント ・クラウドの能力に強い信頼を寄せています」とコメントしている。
テンセント・タイのCEOを務めるチャン・フー(Mr. Chang Foo)氏は「 テンセント・クラウドは、デジタルトランスフォーメーションの時代にあって、企業が能力を拡大し、強力なビジネス成長を実現し、持続可能性を維持するための支援を行っていきます。現在、あらゆる分野の企業が新しい常態に合わせて移行を加速させる必要がありますが、特にいくつかの国がロックダウン規制を解除し始めたことで脚光を浴びている観光業界は、そのような状況になっています。
観光業界は厳しい衛生安全対策のもとで再び活気を取り戻し始め、パンデミックの前から観光に先端技術を利用する動きは既に盛んになっています。ホテルや航空券の予約、チェックインやレンタカーのサービスにしても、アプリケーションを介してすべてを簡単に管理できるようになりました。そのため、今日の旅行・観光業界ではクラウドやAI技術がますます重要になってきています。
今回のコラボレーションは、シェアリングのようなパートナーをサポートするために、世界クラスのクラウドサービスの進歩と大規模なプラットフォームを提供する専門知識を結集するという当社の献身を反映して、テンセント・クラウドのもう一つの成果を示しています。私たちは、新しいデジタル時代の中でビジネスを強化し、観光産業の成長を促進するための新たなイノベーションの創出を支援しています」とコメントしている。
編集部のコメント
シェアリングは11月11日に楽天トラベルのグローバル版へブロックチェーン基盤のデジタルアイデンティティサービスを導入したことを発表しました。シェアリングはメインで4つのサービスを提供しています。その4つとは「One login、One payment、One app、ShareRing ID」です。One loginとは一度個人情報を登録すれば、複数のログインや複数の旅行アプリを利用する必要なく、旅行サービスを利用できる機能です。2つ目のOne paymentとは旅行者のすべての旅行ニーズに対応するためにアプリ内でワンステップで決済処理が行われるサービスです。3つ目のOne Appとは旅行の際に必要な航空機やレンタカーの予約など様々な予約を1つのアプリで行うことができるサービスです。最後4つ目のShareRing IDとは自分のIDを自ら管理できる自己主権型のID提供サービスです。ユーザーはIDをどこに、どのように保存するかを選択できます。
またシェアリングはサービス内のユーティリティートークンとしてShareToken (SHR)、サービス内の決済用通貨として SharePay(SHRP)の2種類の通貨を発行しています。SHRはバイナンス・デックス(Binance DEX)やビッサム(Bithumb)で取り扱われています。そして2020年9月にシェアリングは中国政府が運営するブロックチェーンコンソーシアムのブロックチェーンサービスネットワーク(BSN)に採択されています。このところシェアリングと各国の大企業の提携が続いているので、今後の展開が楽しみです。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStock/Yevhen-Lahunov)