IBMが独繊維メーカーと共同で持続可能な衣服製品証明のためのブロックチェーンネットワークを開発
米アイ・ビー・エム(IBM)が独繊維メーカーのカヤアンドカトー(KAYA&KATO)と共同で、ファッション業界向けのブロックチェーンネットワークを開発したことを11月16日発表した。なおこのネットワークは独連邦経済開発省(BMZ)の支援を受け、IBM Blockchain Platformを基盤に開発が行われたとのこと。
消費者はこのネットワークを利用することで、自らの衣服に使用されている繊維から製品の完成に至るまでを追跡し、その衣服が持続可能な方法で生産されているかを確認できるとのこと。
リリースによると、消費者は自身の購入する製品の環境への影響を理解したいという要望が増えているとのこと。IBMが全米小売連盟(NRF)と今年に行った調査では調査対象となった消費者の77%がサステナビリティを重要視しており、調査対象となった57%が環境への悪影響を減らすために購買習慣を変えることを厭わないと答えているという。
また衣料品業界ではこのような意識は若年層の間で一般的になり、かつ重要視されているとのこと。IBMが委託した欧州地域の消費者を対象とした調査では、回答者の75%がファッション業界における廃棄物のレベルを懸念していると回答し、さらに回答者の64%は新しいテクノロジーが持続可能性の主張を証明することができれば、その衣料品を購入する可能性が高くなると答えているとのことだ。
編集部のコメント
リリースによるとKAYA&KATOは独連邦経済協力開発省(BMZ)から「グリーンボタン」の認証を受けた27社のうちの1社とのことです。「グリーンボタン」は昨年9月よりドイツにてスタートした制度で、認証を受けた企業の製品は持続可能な繊維製品であることが認められます。
なお「グリーンボタン」の試験項目には、地球環境の保全という観点に加え、児童労働の禁止、安全な労働環境の整備、待遇改善といった、企業の社会的な課題(SDGs)への取り組みを問うものもあるとのことです。また消費者には「グリーンボタン」認証であることで、購入する商品が持続可能な社会に貢献するかを分かりやすくする効果もあります。
今回のIBMとKAYA&KATOの取り組みようなブロックチェーントレーサビリティによる製品の透明化は、その製品の出所の証明が出来るため、今後企業責任となるSDGs達成の仕組みとして社会で益々使われていく技術になるかもしれません。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStock/TheNewGuy03・Kateryna-Bereziuk)