慶応大の岩本研究室とEdMuseがブロックチェーンを活用したHRテクノロージー分野のビジネスモデル研究開始
慶應義塾大学大学院経営管理研究科岩本隆研究室(岩本研究室)とEdMuse(エドミューズ)株式会社が、HRテクノロジー分野における分散型台帳技術(DLT)を活用したビジネスモデルの協働研究を開始したことを11月17日発表した(HRテクノロジーとは、クラウドやデータ解析、人工知能(AI)、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、ロボティクスなど最先端のテクノロジーを使って、採用・育成・評価・配置などの人事関連業務を行う手法のこと)。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授の岩本隆氏は「技術」「戦略」「政策」を融合させた「産業プロデュース論」を専門領域として、新産業創出に関わる研究をする人物。また岩本氏はビジネス×テクノロジー領域の研究を推進しており、HRテクノロジー分野における第一人者として、さまざまな社会課題と産業政策をつなげ、課題解決のための新産業を創出しているとのこと。
EdMuse株式会社はDLT・ブロックチェーンを用いて、人々のアイデンティティである個人情報や学歴証明、技能評価試験結果などを含めた、人材のID証明に取り組んでいる企業である。EdMuseは既にベトナム・インドネシア・インドなどの諸外国における教育機関と協働で、外国人材のID証明の実証実験を行っている。
リリースによると近年日本の人手不足問題は深刻であり、外国人材の受け入れはその解決策の1つとして拡大しているという。しかし外国人材を確保するにあたり、経歴の検証や需給のミスマッチなど複雑な問題が絡み合い、企業が必要な人材を見つけることに苦労を重ねている状況にあるとのこと。このような状況のもと人材難という社会課題の解決のため、岩本研究室とEdMuseは、HRテクノロジー分野におけるDLT(ブロックチェーン)を活用したビジネスモデルの協働研究を開始したとのことだ。
今後は両者は双方の強みを活かし、日本の介護人材およびIT人材等、人材難を解消するための最適なビジネスモデルの創出を目指すとのことだ。
編集部のコメント
慶應義塾大学では、今年8月にブロックチェーンを活用して就活生の個人情報を守るマッチングプラットフォームの開発プロジェクト「STAR(Secure Transmission And Recording)プロジェクト」を開始しており、應義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンターとInstitution for a Global Society株式会社(IGS)が株式会社三菱UFJ銀行、SOMPOホールディングス株式会社、住友生命保険相互会社らとともに共同研究を行っています。
また慶應義塾インフォメーションテクノロジーセンターと慶應義塾大学SFC研究所ブロックチェーン・ラボが、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)、MUFGの子会社であるJapan Digital Design株式会社、株式会社ジェーシービー、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)、ブロックチェーン開発企業BlockBase株式会社の5社と共同で、慶應義塾大学の学生を対象に在学証明書や卒業見込証明書などをスマートフォンアプリへ発行する、次世代デジタルアイデンティティ基盤の実証実験を10月から開始することを10月26日に発表しています。
今回のニュースも含め、慶応義塾大学は企業と共に実用を前提としたブロックチェーン技術によるDXへの取り組みを積極的に行っています。またこれらの取り組みは他大学への普及も検討されています。これらの取り組みがどのように利用され普及していくのか今後も慶応義塾大学の取り組みに注目していきたいと思います。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStock/jauhari1・Tuadesk)