欧州委員会(EC)がデジタルファイナンス戦略として暗号資産の規制草案を公表
欧州委員会(EC)のエグゼクティブ・ヴァイスプレジデント(EVP)を務めるバルディス・ドンブロフスキー(Valdis Dombrovskis)氏がデジタルファイナンス戦略を9月24日に発表した。あわせて暗号資産の規制について記載されている「Markets in Crypto-Assets(MiCA)」の最終草案も公表した。
ドムブロフスキー氏は「革新的な金融のデジタル単一市場は欧州の人々に利益をもたらし、消費者により良い金融商品を提供し、企業に新たな資金調達ルートを開くことで、欧州の経済回復の鍵となるでしょう」と最終草案で述べている。
この規制草案では2024年までに欧州連合(EU)が分散型台帳技術(DLT)と暗号資産の利用を可能にするための包括的な法的枠組みを整備することが確認された。欧州委員会は具体的に電子マネー・トークン、資産性の高い電子マネー・トークン、資産参照トークン、重要な資産参照トークンについての具体的な要件を導入し、金融の安定性と金融政策の伝達に対する潜在的なリスクに対処していきたいとのこと。最後に、EU全体での各国のアプローチの違いから生じる市場の分断化の問題にも取り組む。またデジタルファイナンス戦略として「デジタル・イノベーションを促進するためのEU規制の枠組みの確保、クラウドコンピューティングの促進、ソフトウェアへの投資、人工知能ツールの導入」の4要素が挙げられている。暗号資産の規制はデジタル・イノベーションを促進するためのEU規制の枠組みの確保に当たるとのことだ。
編集部のコメント
欧州中央銀行(ECB)はステーブルコインの現状と金融政策、安定性、決済などへの潜在的な影響を検証する論文「Stablecoins: Implications for monetary policy, financial stability, market infrastructure and payments, and banking supervision in the euro area」を9月22日に発表しています。このように欧州地域全体でブロックチェーン、暗号資産に関する現状の整理が進んでいるように思います。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStock/Ninja-Studio・Dmytro-Yarmolin)