FATFが不正な暗号資産取引を検出するためのレッドフラッグ指標に関するレポートを公開

FATFが不正な暗号資産取引を検出するためのレッドフラッグ指標に関するレポートを公開

マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF:Financial Action Task Force on Money Laundering)が各国の規制当局に向けて、マネーロンダリングや詐欺などにつながる不正な暗号資産(仮想通貨)取引を検出し防止するための指標(レッドフラッグ指標)に関するレポートを9月14日に公開した。

このレポートでは、100件以上のケーススタディに基づいて策定された不正検出に役立つレッドフラッグ指標が列挙され、それに関連する実際にあった事件の例が紹介されている。

FATFはこのレポートにおいて、規制当局や取引所が犯罪につながる不正な取引を検知する主な方法として「ユーザーの取引活動とプロファイル情報を比較すること」を挙げている。中でも「ユーザーの過去の取引活動と一致しない規模の入金がある」「ユーザーの年齢がユーザー全体の平均的な年齢層よりも突出して高い」などがレッドフラッグとして挙げられており、このような指標に当てはまるユーザーは不正取引の疑いが高いとしている。

またトランザクションにおけるレッドフラッグ指標としては「高額な入金が24時間以内に連続で行われている」「一定間隔で入金が行われ、それ以外に取引がない」「アンチマネーロンダリング(AML)およびテロ資金供与防止(CFT)規制のない国の取引所へ送金されている」などが挙げられている。

さらにその他のレッドフラッグ指標として「複数のアカウントから多数の少額入金がある」「ビットコインなどの透明性の高い暗号資産をモネロなどの匿名性の高い暗号資産に大量に変換している」などが挙げられている。

なおこのレポートで挙げられたレッドフラッグ指標はあくまで不正の疑いが高い取引を検出するためのものであり、これらの条件に当てはまる取引が必ずしも不正な取引であるわけではないとのこと。

さらに規制状況や暗号資産に関する情勢は国によって大きく違うため、この指標がそのまま民間部門の監視のためのチェックリストとして使用されるべきではないとのことだ。

編集:小俣淳平(あたらしい経済)

(images:iStock/pgraphis)

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