Scalar(スカラー)が個人情報を取り扱う業者に向け、独自のScalar DLTを用いたソリューションテンプレートを発表
株式会社Scalar(スカラー)が個人情報を取り扱う事業者に向けて、同社開発の分散型台帳技術「Scalar DLT」を用いたソリューション・テンプレート「Scalar Information banking Solution Template(Scalar IST)」をリリースしたことを7月28日に発表した。
「Scalar IST」は「Scalar DLT」上に、個人情報を取り扱う業者がパーソナルデータを収集・利用するために必要になる同意の記録を行うシステムを構築するためのテンプレート・ライブラリである。
「Scalar IST」 では個人情報取扱事業者による同意文書の作成、修正、改訂と同意文書に関連するマスター(利用目的、データ項目、利用期限、第三者提供先)の作成、生活者による同意・同意の拒否・同意の撤回・部分同意といった個人情報に関わる業務に対する記録を行い証跡を保全するとのこと。
従来のサービスのシステムでは、「同意してサービスを利用する」か「拒否してサービスを利用しない」のどちらかしか選択できないという課題があり、「Scalar IST」を利用したシステムでは、生活者のサービスの利用度合いに応じて、段階的に個人情報の利用に対する同意を取得していくことを可能にしているとのことだ。
また「JIS Q 15001(事業者が業務上取り扱う個人情報を安全で適切に管理するための標準規格)」では事業者に対し、個人情報管理の台帳を作成することを要求しており、個人情報管理台帳には記録要件(改ざん検知ができる媒体への記録要件)があるため、従来はCD-ROMや紙媒体に出力して管理していたとのこと。「Scalar IST」では、この要件に「Scalar DLT」のもつ改ざん検知性を利用して対応することにより、生活者の同意状態の変更をリアルタイムに記録することを可能にしているとのことだ。
なお「Scalar IST」はオープンソースとして公開されており無償のものとなっているが、利用には別途「Scalar DLT」のライセンスを購入する必要がある。
編集部のコメント
株式会社Scalarは2017年に創業されたソフトウェアベンダーです。主に独自の分散型台帳技術である「Scalar DLT」の開発を行っており、「Scalar DLT」を利用して企業のDXの推進を支援しています。
また同社は2019年に「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」の取り組みの一環として、トヨタファイナンシャルサービス株式会社とともに分散型台帳技術の活用に向けた実証実験を行ったことを発表しています。
コメント:小俣淳平(あたらしい経済)
(images:iStock/KrulUA)