Coinbaseがブロックチェーン分析ツールをアメリカ政府組織へライセンス販売か。

Coinbaseがブロックチェーン分析ツールをアメリカ政府組織へライセンス販売か。

米暗号資産(仮想通貨)取引所のCoinbase(コインベース)がブロックチェーン分析ソフトウェア「Coinbase Analytics」をアメリカ政府へソフトウェアライセンス販売する意向があるとThe Blockが報じた。

The Blockが入手した記録によると、米国麻薬取締局(DEA)と内国歳入庁(IRS)が「Coinbase Analytics」のライセンスを購入する予定とのこと。実際に両組織が利用開始するのは2021年4月以降になるとのこと。

この件に関して内国歳入庁は「法執行技術が進化し、他の暗号資産が受け入れられるようになるにつれ、犯罪者は犯罪を容易にするためにビットコインだけでなく、他の種類の暗号資産を使用しています。ビットコインを含めたブロックチェーン技術に加えて、Coinbase Analyticsは、犯罪者が現在使用している複数のブロックチェーンにまたがる暗号資産のフロー分析と追跡を可能にします。またCoinbase Analyticsは、現在市場に出回っている他のツールにはない、法執行機関の機密情報を扱う機能も強化されています」と内国歳入庁が2020年4月8日に公開した文書に記載している。

Coinbaseの広報担当者はThe Blockの取材に対し「Coinbase Analyticsで提供される情報は、常にCoinbaseの内部データとは完全に切り離されています。そしてCoinbase Analyticsのデータは、オンラインで公開されているデータだけをソースとしていて、Coinbaseを利用しているかどうかに関わらず、個人を特定できる情報は一切含まれていません。Coinbase Analyticsはブロックチェーン分析用のプロダクトであり、コンプライアンスやグローバルリサーチのために社内で使用しています。Coinbase Analyticsは当社の規制要件を満たし、顧客の資金を保護するための重要なツールです。私たちはNeutrino(ニュートリノ)買収の技術を使ってCoinbase Analyticsを開発しました。Coinbaseは金融機関や法執行機関にもこの製品を提供しており、コンプライアンスや捜査のユースケースをサポートしています。このツールは、一般に公開されているデータへの合理的なアクセスを提供するだけで、Coinbaseの内部データや顧客データにアクセスすることは一切ありません」と答えている。

編集部のコメント

この件に関して、アメリカの暗号資産コミュニティでは反発の声が上がっているとのことです。その理由は「Coinbase Analytics」は2019年にCoinbaseが買収したNeutrinoの技術を活かしているところにあります。なぜならNeutrinoの幹部の一部はハッキングチームと呼ばれる監視ツール開発企業出身者で、そのツールが独裁政府に販売されていたことが問題視されていたことがあるからです。

今回Coinbaseがアメリカ政府管轄の米国麻薬取締役局と内国歳入庁へどのようなデータを共有し、ソフトウェアライセンスを販売するかは注目すべきポイントだと思われます。

実際に仮想通貨分析のWhale Alertによれば、The Blockの報道後、Coinbaseから6000BTC、2000BTCが外部のウォレットに移動しているとのことです。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)

(images:iStock /Lidiia-Moor・denis_pc・stockdevil・antoniokhr)

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「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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