Zoomがエンドツーエンドの暗号化技術を提供する企業Keybaseを買収
Zoom Video Communications(ズームコミュニケーションズ)がエンドツーエンドの暗号化技術を提供する企業Keybase(キーベース)を買収したことを発表した。なお、取引条件は明らかにされてはいない。
Zoomの買収の目的は、ユーザーがZoomを利用する際に現段階のスケーラビリティを確保したままエンドツーエンドの暗号化技術を統合させるため。
Zoom CEOのEriic S・Yuan(エリック・ユアン)氏は「確かにエンドツーエンドで暗号化された通信プラットフォーム、簡単に導入可能なセキュリティを備えた通信プラットフォーム、エンタープライズ規模の通信プラットフォームは存在していますが、現在のZoomプラットフォームには適したものはありません。
Zoom事体でそれらのサービスを構築することを計画していて、ユーザーにセキュリティ、使いやすさ、およびスケールをすべて一度に提供するつもりです。
そして、最初のステップは適切なチームを集めることです。KeybaseはZoomに深い暗号化とセキュリティの専門知識をもたらしてくれます。このようなセキュリティエンジニアのまとまりのあるグループを引き入れることは、セキュリティへの取り組みを強化するための90日間の計画を大幅に前進させることになります」とコメントしている。
KeybaseのファウンダーのMax krohn(マックス・クローン)氏は「KeybaseがZoomに参加できることを嬉しく思っています。私たちのチームは、セキュリティとプライバシーに情熱を注いでいます。そして1日に何億人もの参加者が利用するプラットフォームに私たちの暗号化の専門知識を提供できることを光栄に思っています」とコメントしている。
編集部のコメント
2011年に設立されたZoomVideo Communicationsは、カリフォルニア州サンノゼに本社を置き、世界中にオフィスを構えています。Zoomはビデオ会議、音声、ウェビナープラットフォームを提供しています。新型コロナウイルスの影響でリモートワークが広がる昨今、急激にユーザー数と認知度をあげているサービスです。
一方、セキュリティ面に関して不安視をする声も上がりました。一番問題になっているのが、「Zoom Bombing」(Zoom爆撃)と呼ばれる問題です。これは、ZoomがZoomのIDやURLさえ知っていれば誰でも簡単に利用できることから発生している問題です。これにより第三者がZoomサービスに参加してきて、暴言や違法画像をアップしたりしていて米国ではFBIなどが警告する事態にまで発展しました。なお現在それらのセキュリティ面の対応をアップデートによりZOOMは対応を進めています。今回の買収もそのような流れの一環とみれます。
Keybaseは2014年に設立されたスタートアップでCrunchbaseのデータによれば1100万ドル(11億7000万円)の資金調達を行っています。Keybaseは、エンドツーエンドの暗号化チャット、ファイル共有、コードホスティングを提供しておりユーザーごとの複数のデバイスや大規模でダイナミックなチームをクリーンに処理する暗号化プラットフォームをベースにしています。
今回の買収は元FacebookのCSO でありスタンフォード大学のインターネット観測所の所長でもあるAlex Stamos(アレックス・ステイモス) 氏がコンサルタントとしてZoomに加わり、セキュリティ対策の強化を見極め、実施している90日プランの一環となっています。
Keybaseチームは、Zoom のセキュリティ・エンジニアリング機能のメンバーとして、Zoomの90 日間の計画に重要な貢献をし、プラットフォームのセキュリティとプライバシー機能を積極的に特定、対処、強化していくとのことです。
なおKeybaseは2018年にはステラからの投資を受けたとCoinDeskが報じていて、様々なブロックチェーンプロジェクトへシステムを提供しています。このようにZoomがセキュリティとスケーラビリティを担保したサービスに進化すると、ビジネスツールとしてZoom上での決済システムなども組み込まれてくるのではないかと「あたらしい経済」編集部は考えております。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:antoniokhr)