イーロンマスクが2018年にOpenAIのICO提案を却下、裁判資料にて明らかに

OpenAI営利化をめぐって衝突

電気自動車会社テスラ(Tesla)のCEOで実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏が、2018年初頭にAIチャットボットサービス「ChatGPT」を提供する米オープンエーアイ(OpenAI)のCEOであるサム・アルトマン(Sam Altman)氏によるICO(イニシャル・コイン・オファリング)を阻止したと主張している。11月14日提出の更新された裁判提出書類にて確認できる。

また今回の訴状でマスク氏は、OpenAIとマイクロソフトが組み、競合企業を排除して生成AI(人工知能)市場の独占を図っているとし、反トラスト法(独占禁止法)違反だと主張。

自身が率いるAI企業、xAIを原告に加え、OpenAIやマイクロソフトの一連の行動がマスク氏及びxAIに損害を与えたとしている。

書類にてマスク氏と同氏の弁護団は、OpenAIの創設者の2人であるサム・アルトマン氏とグレッグ・ブロックマン(Greg Brockman)氏が、2018年初頭に独自トークンを発行して会社の収益化を図ろうとしていたと主張。当時、マスク氏は「それは単にOpenAIとICOに関わるすべての人々の信頼を大きく損なう結果になるだろう」と述べ、同アイデアを却下したとのことだ。

マスク氏は、アルトマン氏がOpenAIを営利事業に転換したことを巡って、今年2月に同氏を提訴。訴訟は6月に一度取り下げられたが、8月にマスク氏は、詐欺容疑、連邦RICO法違反、不正競争、その他の申し立てにより、OpenAIとアルトマン氏とブロックマン氏に対する訴訟を再開した。

OpenAIは当初、安全な汎用人工知能(AGI)の構築を目指す非営利団体としてスタートしたが、今年3月のリリースで、ミッション遂行に必要な資金を確保するために、営利組織への移行が必要であることを発表した。

2017年9月、アルトマン氏とブロックマン氏が営利化のアイデアを提案した際、マスク氏は反対し、「自分で何かをするか、OpenAIを非営利として続けるかのどちらかにしろ」と述べたとされる。

マスク氏は2015年、アルトマン氏らとOpenAIを立ち上げ、同社の取締役会の共同議長として参加。同社へ4,400万ドルを投資するといった様々な貢献を行っていた。

またマスク氏はAIスタートアップの資金調達問題を解決するために、OpenAIとテスラの合併を提案。しかし、マスク氏は2018年2月にOpenAIを退き、自身のAI企業「xAI」を立ち上げていた。

OpenAIはリリースにて同訴訟について言及。「私たちは、深く尊敬していた人物とこのような事態になったことを悲しく思います。私たちは、その人物から高い目標を目指すよう鼓舞され、その人物から失敗するだろうと言われ、その人物は競合企業を立ち上げ、その人物抜きでOpenAIのミッションに向けて有意義な進歩を遂げたところで、その人物は私たちを訴えました」と述べている。

参考:裁判資料リリース

画像:Reuters

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あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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