CBDCのユーザビリティテスト推進へ
韓国の中央銀行である韓国銀行が、科学技術情報通信部(MSIT)および金融委員会(FSC)と中央銀行デジタル通貨(CBDC)及び預金トークン基盤の「国民体感型デジタル金融サービス実証」に向けた業務協約(MoU)を締結したと11月6日発表した。
今回の業務協約は、CBDCのユーザビリティテストを推進するためのもの。
「CBDCシステム」と「デジタルバウチャー管理プラットフォーム」の構築、国民体感型デジタル金融サービス実証事業の進行、活用事例の発掘や結果検証、成果の共有、今後の発展方策を模索するための協業体制の運営などを行う予定としている。
同実証では「デジタルバウチャー管理プラットフォーム」を通じて、CBDCに基づいて発行された預金トークンに教育、文化、福祉分野などのバウチャー機能を円滑に付与できるかどうかをテストする予定。
これまではバウチャー(引換券・証明書)を使用する際、 商品券やカード等の現物を所持し利用する必要があったが、今後はユーザーが使用先でQR決済などを通じてバウチャーを簡単に利用できるように支援する計画だとういう。
また、実時間対価支給やデジタルバウチャーの支払い条件設定機能により、複雑な清算手続きや不正受給といった問題解決も期待されているという。
今回の実証事業を推進するため、金融委員会は、テスト参加の意向を表明した7つの国内銀行(国民銀行[KB]、新韓銀行、ウリ銀行、ハナ銀行、中小企業銀行[IBK]、農協銀行[NH]、釜山銀行)に対して、預金トークン発行業務の遂行を許可し、当該銀行が発行した預金トークンに対して預金者保護制度を適用することを含む革新金融サービス新規制の指定を完了した。
また関係機関で構成された「CBDC活用性テスト事前点検TF」を通じ、当該銀行の規制遵守状況やサービスの準備状況全般を継続的に点検する予定だという。
韓国銀行は昨年5月、韓国サムスン電子(Samsung)と協力し、CBDCのエコシステム開発に乗り出していた。
昨年10月には、国際決済銀行(BIS)らと協力し、CBDCのホールセール・テストを開始することを発表していた。
また今年9月には、韓国銀行が約10万人を対象としたトークン化預金のトライアルを準備していることが地元報道機関により報じられていた。
参考:発表
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