旭化成とTISが「Akliteia」をインドにおける機能性材料の真贋判定へ活用
旭化成とTIS共同構築によるブロックチェーン活用の偽造防止デジタルプラットフォーム「Akliteia(アクリティア)」が、インドにおける機能性材料の真贋判定へ活用開始された。両社より10月30日に発表されている。
なおこの取り組みは、機能性材料メーカーであるアジア物性材料社とともに10月より開始したとのこと。「Akliteia」はこれまで国内における美術品やアパレル品の真贋鑑定や食品偽装問題に利用されてきた。今回「Akliteia」が海外で活用されるのは初の事例になるという。
「Akliteia」とは
「Akliteia」は、「ブロックチェーン」、「偽造防止ラベル」、「真贋判定デバイス」の3要素で構成されており、「真正性の担保」と「原本性の担保」の両方を実現するプラットフォームだ。なお「Akliteia」には、エンタープライズ向けブロックチェーン「コルダ(Corda)」が採用されている。
また「偽造防止ラベル」は、旭化成独自の材料と技術を用いて製造された透明なラベル。サブミクロン(1ミクロン以下)解像度の特殊パターンが印刷されており、このラベルを対象品に実装し、真贋判定デバイスによりスキャンすることで、その製品が真正品であるかどうかを確認でき、偽造品を排除するとともに、真正品の数量の把握が可能になるとのこと。
「真贋判定デバイス」のスキャン結果は、TISが「コルダ」を用いて構築したクラウドサービス「Akliteiaネット」に記録されるという。
「Akliteiaネット」は、偽造品の発生状況をサプライチェーン全体で確実に共有する(原本性の担保)ことを可能にし、サプライチェーンのどの段階で偽造品が多く混入されたかなど、被害実態の定量的な把握・可視化が行えるとのこと。また同サービスは、サプライチェーンの変化に応じて情報の共有範囲を柔軟に変更できるためビジネスプライバシーも確保できるとのことだ。
今回の取り組みついて
アジア物性材料社は、主に金属や化合物の機能化・高純度化を事業内容としており、半導体や電子材料等の素材メーカーや化学メーカー、医療機器メーカーに製品を供給するほか、スクラップからレアメタルを回収・再生して販売する取り組みも行っているとのこと。
その中でアジア物性材料社では、ダイヤモンドの加工プロセスにおいて使われる機能材料(セレン)を販売しているという。セレンは、ダイヤモンドの原石を加工する工程で、原石をスキャンする検査において使われるとのこと。精密な検査によって内包される不純物などの位置などを把握することで、効率よくダイヤモンドが得られるという。セレンの品質は検査の精度に影響し、加工効率が大きく変化するため、高純度グレードは高価格で取引されており、正規品のパッケージを模造した偽造品が多数発生していたとのこと。
純度の低い偽造品を使用すると、検査の精度低下により原石加工時に採取できるダイヤモンドの量が減少し、純正品のブランド価値毀損につながる恐れがあるため、偽造品対策として今回「Akliteia」が活用されたとのことだ。
今回の取り組みの流れとして、アジア物性材料社にて出荷するセレンに偽造防止ラベルを貼付した後、販売先となるインドの輸入事業者において、流通情報をブロックチェーンに登録したうえで中間業者に販売するとのこと。
複数企業の製品を扱う中間業者で他社の偽造品が混入したとしても、最終的にセレンを使用する加工業者にて使用前に真贋判定を行うことで、純正品を識別できるとのことだ。
参考:旭化成
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