イーサL2「Arbitrum」、多言語対応プログラミング環境「Stylus」をメインネットで稼働開始

アービトラムがマルチVMに移行

イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2スケーリングソリューション「アービトラム(Arbitrum)」向けのプログラミング環境「スタイラス(Stylus)」が、稼働開始した。同ネットワーク開発元のオフチェーンラボ(Offchain Labs)が9月4日発表した。

これによりEVM(イーサリアムバーチャルマシン)にのみ対応する「アービトラムワン(Arbitrum One)」および「アービトラムノヴァ(Arbitrum Nova)」のメインネットに、ウェブアセンブリ(WASM/WebAssembly)対応のバーチャルマシン(VM)が導入され、EVMからマルチVM(MultiVM)へ移行したとのこと。

これまで開発者はコントラクト作成の際にイーサリアム(Ethereum)の独自プログラミング言語である「ソリディティ(Solidity)」などの限られた言語を使用する必要があったが、「スタイラス」稼働によりRust(ラスト)、C、C++など、開発者の好みの言語でコントラクトが書けるようになった。

「アービトラム」のドキュメントによると「ソリディティ」によるコントラクトと「スタイラス」によるコントラクトは完全に相互運用可能とのこと。また「ソリディティ」ではRustプログラムが呼び出せ、その逆も可能だという。

さらに「スタイラス」の環境では、「ソリディティ」で書かれたコントラクトと比較して大幅に実行速度が向上するという。コインテレグラフによるオフチェーンラボCEO兼共同創設者のスティーブン・ゴールドフェダー(Steven Goldfeder)氏への取材によると、「スタイラス」ではEVM環境より70倍の高速化が実現したとのことだ。

なお昨年2月の「スタイラス」発表時には、同環境は2023年中に利用可能になるとされていた。

「アービトラム(Arbitrum)」とは?

アービトラムは、オプティミスティックロールアップを採用することでイーサリアムの安全性を保ちつつオフチェーンでの高速処理を実現したスケーリングソリューションである。

「アービトラムワン」はアービトラムのパブリックなメインネットであり、誰でもバリデーターとなれる仕組みとなっている。一方で「アービトラムノヴァ」は選定されたバリデーターのみが参加する許可型のメインネットとなっており、厳密な分散性を達成することはできないが、その分低い手数料での利用を可能にしている。

そのような特性から「アービトラムワン」はDeFi(分散型金融)及びNFT向けチェーン、「アービトラムノヴァ」はゲーム及びソーシャルアプリに特化したチェーンとして取り扱われるケースが多い。

参考:コインチェック
画像:iStocks/DKosig

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
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